(ゆめゆめ)


夢を見た。それを僕は、ついさっきまで本当にそこにいたようにはっきりと覚えている。



僕は夢の中でもいつものように、先生から指導を受けていた。外にいるらしい。明るいが、日は斜めになっている。そこにはい組の生徒だけでなく、なぜかは組の生徒もいた。
みんなの前で真っ先にお手本を見せることになった僕の耳に届いたのは、冷やかすようなは組の声。
兵太夫、お前の好きなやつだろ…
そう聞こえた。それは兵太夫に向けて言われているようだ。兵太夫は何も言わず、それを否定しなかった。僕はその光景を目の端に捉えながらも、恥ずかしくてそちらを向けないまま聞き耳を立てていた。先生に教えられたことも良く頭に入らず、ぼーっとしながら遠くの音だけをきいていた。午後の日差しとそんな風景の中で、いつの間にか夢から覚めた。


いい夢だったなあ、そう感傷に浸っていれたのは一瞬だった。ふと現実に戻ってみると、それは絶対にありえないことだとわかったから。それが本当にあった出来事なら僕は今、幸せなのに。


夢の中ではいつも幸せだから、いっそのことずっと夢を見ていれたらいいのに。僕がそう思っても、夢はいつも覚める。






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -