(後ろ姿、それとも)

長期休暇は私にとってそんなに喜ばしいものではない。雷蔵に会えないということだから。家路は今学期最後の雷蔵との時間だ。


太陽はもう半分以上山に隠れて見えない。雷蔵と帰る道はこんなに短く感じるものなのか。話が途切れないように雷蔵に話を振る自分が滑稽だ。親友だと思えるなら無言も心地よいだろうが。でも気をつかうのは苦ではない。

もうすぐ別れ道だ。雷蔵と私はそこから別れて帰らなければならない。嫌だという気持ちを雷蔵には気付かせないようにとは思っても、自然と歩く速度を緩めてしまう。それでも近づいてきてしまう別れ道。私は雷蔵に友達として別れの言葉を言う。雷蔵も友達としての返事をする。二つの重なっていた影が二つに別れる。私は雷蔵の後ろ姿を見つめていた。雷蔵は私が雷蔵に背を向けて歩いていると思っているのだろう。私は雷蔵に振り返ってほしくなかった。全てばれてしまいそうだったから。


結局、雷蔵は振り返ることはなかった。私
は見えなくなるまで後ろ姿を見つめていた。ずっと、好きだから、



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -