(やっぱツンデレっていい)


「また七松先輩は!」

滝夜叉丸が怒っている。私が何かしたらしい。でも思いつかない。

「何?」
「またバレーボール壊したでしょう!」

ああ、あれか。日常茶飯事のようにやっていることだからわからなかった。壊し過ぎてどれのことを言っているのかもわからないし。中庭に埋めていたのがバレたのかもしれない。

「壊れるボールの方が悪いんだ」
「屁理屈です!大体そんなんだから、予算取れないんですよ!今度という今度は許しませんから」

滝夜叉丸はボールを壊すという表現は合っているのか、戦争の逆が平和であることと似た違和感がある、なんてぶつくさ脱線している。ご機嫌を損ねてしまったらしい。これはご機嫌とりをしなければ。
怒っている滝夜叉丸にはこれだ。

「滝夜叉丸」
「なんですか?」

私の声にこちらを向いた滝夜叉丸にキスをする。

「今度こそは気を付けるから」

滝夜叉丸は私の顔をジッと見つめている。

「…まぁいいです。許します」

ぷぃっと横を向いた滝夜叉丸の頬が赤くなっているのを私は見逃さない。

「私が用具委員会に直して貰えるように頼んでおきます」
「いや、それは私が」
「いいですから!」

ばればれの照れ隠し。そんな滝丸叉丸が可愛らしいくて、困らせたくて。




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