(my favorite)


言いたいことを言って、したいことを自由にして、お気に入りのものを周りに置いて。そうやって僕は生きてきた。からくりに費やす時間は惜しまないし、欲しいものは必ず手に入れる。それを悪いだとか良いなんて言ってほしくない。僕は他人に理解してもらおうなんて思ってない。だから僕も他人を理解しようとはしない。でもなんで他の人は自分の求めるように生きないのか不思議だ。したいことを我慢して、そういう人は人生の最後に何を思うのだろうか。今まで生きてきてよかったと本当に思えるのだろうか。

そんな僕が人を気に入るということは初めてだった。でもそれを他のお気に入りのものと同じように扱うのは簡単だと思っていた。今まで自分のしたいように生きるのはとても簡単だったし、そいつは自分のしたいことを一番我慢しているような人種だったから。人によく見てもらうのが生き甲斐みたいなやつだったから。僕が少し強引に向かっていけばどうにでもなると思っていた。でもそれは違った。

「なんでもお前の思い通りになると思ったら大間違いだ」

そういって伝七はいつも僕を拒む。なんで思い通りにならないんだ。今までと同じように。しかも僕の生き方にまでしつこく文句をつけてくる。他の人は諦めて、何も言わなくなるのに。伝七のそういう所も含め僕は気に入っているのかもしれないけど。
伝七を側に置いておきたいだけ。僕が求めるのはとても簡単なことだろう?うまくいかないのはあいつが僕を拒否するからだ。

「なんでそんなに僕につっかかるんだよっ」

泣きそうな瞳で伝七にそう言われた時気付いた。僕はなんでこんなに躍起になっているんだ。伝七が思い通りにならないから?いや、それだけじゃない。僕にとって伝七はお気に入りで、そのお気に入りの中でも特別で。だからこんなに伝七を構うんだ。そういう気持ちをなんて言うのか僕は知ってる。
この気持ちが冷めることがあるのかわからないけれど冷めてしまう前に、そして伝七が僕の話をちゃんと聞いてくれなくなってしまう前に、この気持ちを伝えなければ。





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