(think twice)


私は今日、七松先輩に告白をする。この私が自分から告白。あり得ない。でももう決めたことだ。今日に、必ず。

告白の仕方は色々考えた。手紙とか、手紙とか手紙とか。手紙だったら私の有り余る文才を発揮して七松先輩を落とすことができる、と思う。思う、なんて私らしくない。断定をする自信がないとは。
いやまず、七松先輩は手紙を読んでくれるのだろうか。あの人は六年生だし、多少は本を読んだりするのだろうが、そういうイメージは正直言ってない。六年生なのに本を読む姿より外でバレーをしている姿を想像する方が容易い。そういう人なのだ。この前だって道端に座りこんで何をしているのかと思ったら、蟻の行進を眺めていた。いつから見てるんですか、と聞けば朝から。その時私は昼食を終えていた。全く呆れる。七松先輩のそういう所が私は好きなんだけど。
そんなことを考えているうちに手紙での告白で大丈夫なのだろうかと思い始める。実はもう一つ考えていた。直接…とか。

結局私は直接告白すると決めた。男ならやっぱり直接伝えるべきだ。勝負はこの委員会活動の後。

委員会が終了すると下級生は我先にと帰ってしまって、七松先輩と私は大体最後まで残っている。今日もいつものパターン。二人きりになってもいい雰囲気には全くならない。しかし私は焦ってしまって、いきなり本題から入ってしまう。

「あの…お話ししたいことがあります!」
「?なんだ、急に改まって。」
「私はっ七松先輩のことが好きです!」

「ではっ!!」

私は七松先輩の答えを聞かずに走り出す。戸惑う七松先輩の前にいるのに、耐えられなかったから。
しかしさすが六年生。逃げ出す私の手を素早く掴む。

「ちょっと!放して下さい!」
「放して下さいってなんで?」

何故最初に直接告白するのを考えなかったのか。それは七松先輩を前にしてちゃんと思いを伝えられる自信がなかったから。伝えるには伝えられたが、お後がよろしくない。告白のことばかり考えていて、肝心な七松先輩の答えを聞くという準備をしていなかった。自己嫌悪だ。また、私らしくない。

「あのさ、やっぱり…」
「もう一度考えて下さい!」

空気を読むと、答えはNOだろう。でもこのままじゃ引き下がれない。私のプライドと、そして恋心がそれを許さないから。

「もう一度、私の告白のことを…」
「いや、そうじゃなくてさ」

もう言い出せない。七松先輩に断られて、それで終わり。もう一度、考えてくれたら…

「私が言うべきだったな、と思って」
「え?」
「告白は。」

そういって七松先輩はいつもみたいに笑っている。七松先輩に私の言葉は本当に正確に伝わっているのだろうか。
やっぱり手紙の方がよかった。手紙なら言葉で伝えきれない思いを全て伝えられたような気がする。今の気持ちですら七松先輩に伝えられない。

七松先輩を好きになってから私は私らしくいられません。そんな私でも、七松先輩は好きになってくれますか。

こんなこと直接聞けない。これからも、多分。





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