(ツンデレの定理)
僕たちのことは周りから見れば喧嘩ばかりしている仲の悪い二人だろう。お互いに馬鹿だとかあほだとか。まぁい組とは組だからしょうがない。でも僕は思う。伝七は実はツンデレなだけ。
ああ、宿題をするのを忘れている。明日提出だから今日やらなければ…面倒くさい。提出までに明日誰かのを写せばいいか。まぁ出さなくとも別にいいんだけど。
「おい!笹山兵太夫!」
大きな声に振り向く。この声は、
「今日は作法委員会だぞ。」
そんなことでいちいち話しかけてきたのかこいつは。
「今日は宿題やるから行かないよ。明日提出だから。」
作法委員会にいくのもなんだかだるくなってきた。行かなくても宿題はやらないだろうけど。
「宿題なんか出された当日にやるものだろ。さすがは組」
「なんだよ、そんなこと言いたいだけ?僕も暇じゃないんだからさ」
「まぁ待てよ」
伝七はどこから出したのか紙切れを僕の前にひらつかせる。
「そんなこともあろうかと!ほらこれ。」
ふふんと鼻をならす。そして誇らしげな顔。
「何これ」
「お前がいまやってる所の宿題」
伝七はしてやったり、という顔でい組はは組より勉強が進んでいるからとか、こんな簡単な宿題をとか言っている。
なんだ、伝七は僕にこれを言いたかったのか。
「これ、僕のために見せてくれる訳?」
「は?」
「伝七ってなんだかんだ言って僕に優しいよね。」
「違う!」
「僕のこと本当はそんなに嫌いじゃないでしょ?」
「違うって言ってるだろ!」
「じゃあなんで…」
「お前が宿題できてなかったら作法委員の仕事できなくて、僕に迷惑がかかるだろ!」
「ふーん」
「べっ別にお前のためじゃないんだからな!」
僕の怒涛の言葉責めに耐えかねたのか、僕に紙切れを押し付け、
「じゃあな。ちゃんと今日委員会来いよ!」
と言ってサッサと帰ってしまった。伝七の宿題に目を落とすと、はなまるが付いている。
さて、今日は伝七の宿題を写しながらゴロゴロすることにするか。