(アルミ箔)


「見て。板チョコ」

雷蔵が私に見せたのは長方形の薄い板状の物だった。雷蔵はそれを半分に割り、私に差し出す。

「三郎にも半分あげようと思って。」

チョコレートか。私は甘いものはあまり好んでは食べないがせっかく雷蔵が私に、と言ってくれているものだ。丁重に礼を言って受け取る。チョコというものは聞いたことはあるが、高価なものだったし実際に食べることができるとは思っていなかった。しかも板チョコというものは初めて見る。
私は銀紙を剥ぎチョコをかじる。甘い。甘すぎるような気もするが、なかなかおいしい。

「くのいちの子に貰ったんだ。」
「え?」
「珍しいものが手に入ったから、雷蔵先輩にもって」
「ふぅん。」

いた…。突然歯にピリッとした痛みを感じた。虫歯の痛みではない。それと不快感。銀歯に銀紙が当たったのか。

「その子可愛らしいんだよ。雷蔵先輩、雷蔵先輩ってなついてくれて」

痛、まただ。痛みを感じる。そして不快感。痛みを感じたのは歯も、そして。

「痛いよ、雷蔵」
「え?」

私はチョコを食べるのを止める。

「虫歯?」
「いや、」
「じゃあ銀歯に銀紙が当たってるのかな。」

そう言った雷蔵は私の手からチョコを取り、銀紙を剥がす。

「ちゃんと剥がさないからだよ。」

違う。私はそんなこと言ってるんじゃなくて、





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