(世界)


私は恋愛というものにとても疎かった。友達が誰それが好きだと騒いでいても、私には不思議で仕方なかった。何故他人のことを好きになり、それを告げようとするのか。
周りは私のことを子供だと言う。だから人を好きになる気持ちがわからないんだと。でも私には、人を好きになるのには理由は無く、なんとなく、そういう所がよくわからなかった。
周りは急かされるように色恋事に熱中してゆく。私はそれを見ながら、自分は人を愛することができるのだろうか、とただ焦るだけだった。私がそんなことを考えているなんて誰も知らなかっただろう。
しかし私の恋の自覚は突然だった。その人は表向きは自尊心が高く、人にはあまり好かれるタイプではない。でも私は知っている。誰より努力家で、後輩思いで、目上の人間には敬意を払える、そのような人だと。そんな所を見ているうちに彼の存在が自分の中で大きくなっていた。始めは恋だなんて思わなかった。しかしこの説明できない気持ちはなんだろうと考えたとき、恋だ、と告げる何かがあった。
何故恋は落ちるというのか。それは多分、いきなりの出来事だからだ。でも私はいつ何があって恋に落ちたのかわからない。自分でも恋だと自覚しないうちに好きになっていた。これも恋に落ちた、と言えるのだろうか。
私は彼のどこが好きかと聞かれてもよくわからない。やはりなんとなく、あえて言えば全て。



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -