(open to doubt)
雷蔵は私にあまり愛情表現をしてくれない。私がやり過ぎというのもあるだろうが、それにしても。
「私は雷蔵のこと好きだよ。」
「うん」
「でもさ、雷蔵は?ちゃんと私のこと好き?」
「…僕は三郎のそういう所嫌いだ。」
けんな感じでいつもはぐらかされる。でも今回ばかりは強気に行こう。私は雷蔵の腰に手を回す。
「三郎!僕は君のそういう所が嫌いだって今さっき、」
「…本当に私のこと嫌い?」
真剣な目でそんなことを聞けば雷蔵は言葉に詰まっている。腰に回していた手を移動させて雷蔵を後ろから抱きすくめる。
「本当は嫌いじゃないでしょ?」
「う…」
「じゃあ言って。私のこと好きだ、って」
「…っ僕だって三郎のことちゃんと愛してるよ!」
愛している、とまで言われると思っていなかった。驚いて緩んでしまった私の腕から雷蔵が抜け出す。
「ただ、恥ずかしくて言えないだけだっ」
雷蔵は走っていってしまった。恥ずかしいのは私の方じゃないか。