(table)


「僕は大人しい子がタイプかな」

作法委員の生首のフィギュアを片付けながら兵太夫はそんなことを言い出した。

「はぁ?」
「いや、僕は大人しい子がタイプだよってこと。」
「それをなんで僕に言うんだよ」
「別に?ちょっと言ってみたかっただけ」

兵太夫は意地悪く笑っている。何故か楽しそうだ。なんなんだこいつは。聞いてもいないことを勝手に喋って。なんだよ大人しい子が好きって…。そんなこと初めて知った。あんまり喋らなかったり、うるさくしない子が好きってことなのか。考え込む僕を見ながら、兵太夫はまだ楽しそうにしている。

「なんだよ。人の顔見てにやついて」
「伝七は大人しくないね、全然。」
「っ…わかってるよ!そんなこと」

ふんっとそっぽを向く。なんで喧嘩みたいになってるんだ。兵太夫の好きなタイプを知っただけだろ。なんでこんなに僕がイライラしてるんだ。自分がよくわからない。

それから僕と兵太夫は一言も喋らず片付けを続けた。僕はまた意地を張っている…


昨日そんなことがあってから、授業中まであの事を思い出してしまう。僕とあろうことが安藤先生に当てられた問題に答えることができなかった。左吉はそんな僕をおかしいと思ったのだろう。

「伝七、今日はなんか変だぞ」
「左吉…僕って大人しく、ない?」
「どうした?急に…」
「それはいいから。どう思う?」
「大人しくはないかな」
「そっか…」

何故か心に引っかかる。なんで僕は左吉にこんなことを聞いているんだろう。兵太夫のことを気にしているのでは、断じてない。先生に気に入られるのには大人しくいるほうがいいのかと思って。ただ、それだけ。



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