どうしよう、どうしよう。
少女はひとり慌てていた。

私、今まで教科書を忘れてしまったことなんてなかったのに・・・・。
今日はテストにでてくる重要な範囲を勉強するのに・・・!!
・・・・古典好きなのに。

少女は諦めたように肩をおとした。

まわりでは一年のトップクラスの生徒たちが座っていた。
そのほとんどはひとりで座って勉強をしている。
いわば自習というものだ。

そんな中で数人だが友達と授業がはじまるまでの
貴重な休み時間を満喫している生徒もいた。

・・・どうせ、となりの人に教科書さえ
見せないんだろうな。

少女は一人思った。

この教室の中にいる人たちはいつもそう。
人が困っているのに平気な顔して、
おちていくのをまってるみたい。

そこまで考えてため息をついた。

「どうしたの?」

後ろから声がした。
あたたかい、あたたかい、まっすぐな、こえ。
自分に言われていないかもしれないのに、少女は思わず振り返った。

「何かあったのか?さっきから困った顔してる。」

真っ白だった。
何もかもが、まっしろ。
めずらしい。そう思った。

「あ・・・教科書忘れたから・・・。」

どうせこの人も「残念だったね。」の一言なんだ。
助けるつもりがないなら話かけないで。

そう思ったとき

ふわり。
そんな効果音がつくくらいふわりとした笑顔でその人は言った。

「じゃあ、僕と一緒に座ろうよ。誰も座ってくれる人がいないし、教科書あるから。」

だれもすわってくれるひとがいない―。
どんなに悲しいことだろう。
私には誰か、無関心であっても座ってくれる。
でも・・・この人にはいないの・・・?

それでも・・・
それでも優しいなんて。

な・・・なんて優しいの・・!!!!!!!!!

「ありがとう!私、沙布っていうの!あなたは?」

「沙布か・・・。いい名前だね。僕は紫苑。よろしく。」

紫苑・・・ステキな名前だわ!!!



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
反省

ここから沙布が暴走するわけです。はい。
お題と話の順番がばらばらですみませんw



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