ああなんて面倒なんだろう。

金属バットを持って、気持ち悪い笑顔を同じように浮かべている
男たちに囲まれて神威は思った。

およそ40人くらいかな。
ああ、面倒だなあ。そんなに俺、ケンカ売られるほど弱そうな顔してるかな。

そこで違うか。と神威は考えるのをやめた。

「なあに、俺に何か用かな?」

にっこり。笑顔で言うと神威の目の前にいる男がげへへと笑った。

「さーすが今の”夜兎高の長だな。こんな状況でもその余裕の笑みとはなァ?」

その言葉に神威を囲んでいる男たちもげらげらと笑う。
しかし神威はむう、と頬を膨らませた。

「余裕の笑み?ちがうよ、これはね・・・・」

そんな神威にまるで隙ありとでも言うように男たちはいっせいに金属バットを振り上げた。

「てめえが転校する前に痛い目に合わせてやるぜェェェェ!!!!!!!!」

しかしまるで危険な状態に直面しているとは思えない笑顔で神威は話を続けた。

「これはね、俺のケンカの作法なんだ。」

にっこり。とこの場に女がいれば惚れてしまうような笑顔を最後に
男たちはどさり、と倒れた。






「んー、なんだかなあ。」

倒れた男たちを前に神威が笑う。
ぴくり、と先ほどまで絶対に勝てると思っていただろう男たちが震える。

「俺さ、ケンカ売られたほうが悪いってよく聞くんだけどね?
ねえ、君はどう思う??」

にこ、と笑顔を向けられた男は全身が悲鳴をあげているだろう体を無理に動かし
後ずさった。

「あり、こいつはだめだ。じゃあ、君!君はさ、どう思う?」

後ずさった男をみて神威は他の男に話かける。
その男は「ひぃ・・!!」という声をあげたが先ほどの男のように後ずさりはしなかった。

「あ・・・、わか、らない、です・・・。」

震える声でようやく言葉を発した男は何故か敬語で応えていた。
神威はそれに満足そうにうなずいた。

「うん、まあ・・・そうだろうね。でもさ、俺が思うに――――――――」



神威によって続けられた言葉を男たちは聞いて青ざめ、そこで気絶した。







ケンカを売られたほうじゃなくて売るほうが悪いんだよ?




「さあ、転校したら少しは普通になれるかなあ?」

くす、と神威は自嘲気味に笑った。




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