小説 | ナノ

  甘美なひととき


「ふぁ、…んふ、…べる、なるど…」
 どんなドルチェより甘くて、俺をとろとろに蕩かすキスを受けながら、愛しい男の名前を呼んでその逞しい背中に腕を回す。ベルナルドの手がそっと俺の髪を撫でた。
「…ジャン、愛してるよ」
 素敵な美声が耳をくすぐる。ついさっきまで与えられていた快楽にまだ意識がぼんやりと定まらない。なんかふわふわする…。
「…ん、おれも…」
 ぽやんとしながらお返しとばかりにダーリンにキスを仕掛けた。
 このおじちゃんは今日も俺を身体の芯まで、愛しちゃってくれました。もう凄ぇのなんのって。ベルナルドにされる行為ひとつひとつが、涎が出る程きもちよくて…俺はあっと言う間に、覚えさせられたドライでイっちまった。ワオ、おじちゃんのテクは世界一ネ!うう、してやられちまったのがなんかこう、クヤシイ。エロオヤジめ、少しは精力衰えろってーの。
「あぁ、さっきのジャン、とても素敵だった」
「うっせ…」
さっきの行為を思い出して、頬がかあ、と熱くなったのを感じる。
 ハイハイ、アンタの下であんあん良がってましたよ!思い出させんな。つーかそんなうっとりした顔で見つめられてもこっちが恥ずかしいんだケド。恥ずかしさにベルナルドをどつくと、でれでれに緩みきった顔で笑われた。
「ふふ、恥ずかしがってるジャンも可愛い、食べちゃいたいぐらいだ」
「そ、そういうこと言わない!…つーかさっき散々食べたろーが」
 幸せそうに笑うベルナルドの額をつん、とつついてやる。
「……まだ二回だろ?」
 そう言って、にやりと笑うベルナルド。なんか、この空気ヤバイ。
「もう二回だ!あんたのエロゲージどうなってんだよヘンタイ!」
「だってジャンの前では、いつだって俺は欲望に歯止めが効かなくてね」
なにしれっと答えてやがんだダメおやじ!
 ベルナルドは悪びれた様子もなく、案の定スイッチが入っちまったのかスルリ、と俺の肌に触れてくる。クソ、ヤる気満々じゃねーかこのやろ…!
「ストッパーでもつけとけ!この……っぁ!ばか!」
 さっきしたばっかだろ!?なんなのこの精力ホントにオジちゃんなの!?
なんてことを言う暇もなく、キスで塞がれて言葉ごとベルナルドに流されちまう。
「ンッ……んぅ……っ、んぁ、ふ」
 ちゅ、と軽く唇を吸われたかと思うと、薄く開いていた唇から、ベルナルドの舌が口内に侵入してきた。蠢く熱い舌に絡め取られると、また俺の思考がとろとろに溶かされていく。やべ、…俺、また……。
「は……ふぁ……ん、ッべる……」
「ン……ジャン…」
 キスの合間に囁かれる低い美声にゾクリと身体の奥が疼く。折角落ち着いたのにまた熱くなってきて、無意識に身体が跳ねた。くそう、なんでこんなキス上手いんだよう…!
 気持ちよさにうっとりしていると、肌を弄っていたベルナルドの手が胸に移動して乳首を探り当てる。
「 っ!……っん……や、」
 ビリッとした快感が身体に走って、俺は思わず身を捩った。だってそこはこの男に開発させられちまった性感帯で。少し触られただけだっつーのに……もう、やばい…。
「ジャンはここも弱いよね」
「ぁ……っく!…うっ、せぇ……も、いちいち…いう、な…ッ」
 咎めるようにぐい、とベルナルドの髪を軽く引っ張ると、ちゅ、と頬にキスされた。
「可愛いな…ジャン」
 そんなこと言って、蕩けるような熱い視線が俺の痴態を見つめる。それだけなのに、俺はどうしようもないくらい感じて、小さく声を上げちまう。ぼーっとその見惚れるぐらい綺麗な顔立ちを見上げていると、ベルナルドはするり、と弄っている方とは反対の手を後ろの窄まりに這わせた。
「んぁ……ッや…!」
 まだ、ダメだって…!
 俺は咄嗟に、ベルナルドの服の裾を掴んで、抵抗の意を示す。しかし、そんなのも構わずにずく、とベルナルドの節の太い指が容赦無く俺の中に入ってきた。
「まだ柔らかいね」
いちいち言うんじゃねー…ばか。
 さっき弄られたばかりのソコは、ベルナルドの指をすんなりと根元まで受け入れる。いちいち言うんじゃねー…ばか。なんて事を吐いてやる余裕もなく、はぁ、と息を吐いたのもつかの間、指で中でかき混ぜるように動かされる。俺は堪らず快感に口から上ずった声を漏らした。
「ひぅ!ぃ、……ぁ、あ、……ッん、あ!……やッ、べるッ…!」
「あぁ、ココ…こんなにとろとろにしてーー……やらしいな」
 アンタがそうしたくせに…!
 ベルナルドは指を動かしながら、ふ、と口角をあげてエロチックに笑う。そのまま、どんどん中に指を増やしてきた。
「ぁ……ッ!ふぁ…ン、ぁ……」
 中で指が繊細に動いたかと思うと、激しく俺のイイところを刺激してきて、俺はたまらず指を締め付けちまう。ぐちゅぐちゅとソコから生まれる卑猥な水音にすら耳から犯されて居るようで、感じる要素にしかならない。
「ジャンのここ、俺の指をきゅうきゅう締め付けてくるよ……気持ち良いの?」
 わかってやってるだろばかあ!
 と、頭の中で一喝してみるが思考が蕩けて、やっぱり声に出すまでいかない。
「ふあッ……や、んな……してな…っ!だめ……ッんぁ、う!そ……ッな……しちゃ!」
 ふにふにと前立腺を刺激されると、びりびりとありえねえ快感が、俺の全身を駆け巡って、なすがまま仰け反り喘ぐ。もうベッドのシーツは俺達の情事の跡でみだれまくりだ。
「ー……ジャン」
俺の耳元で愛しそうに囁く、優しい美声が更に俺を快感の淵に誘う。う、やべ……きもちい……。
「あ、ァん…ッ!……ふぁ、は……ん…」
 ベルナルドは一旦動かしていた指を止めて、口から零れていた俺の涎を舐めとる。はあはあと息を整えるのに必死な俺を見て、綺麗な青林檎の瞳を輝かせてくすりと笑った。…あークソ、幸せそうに笑いやがって…格好良いなあ俺のダーリン。そんなことを考えていると、ベルナルドは俺の肌に顔を伏せ、キスマークを残していく。俺の上に落ちて揺れているベルナルドの髪がくすぐったい。
「ん、ん……ッあんま、跡……ぁ、ん……つけんなぁ…」
「そんなこと言って、つけられるの好きなくせに」
「っ……すき、じゃ……ね……ッひぁ!……ばか、またッ……ゆび……や……ぁん!」
 ベルナルドは、小休止していた指の動きをすぐに再開させた。中をいきなり弄られて、急な快感に憎まれ口が叩けなくなる。
「ひ、!ぃあ、ぁ、あ!」
 ぐりぐりと中を弄られながら、ちゅ、と乳首に熱い舌が這わされて、頭が真っ白になる。悲しくもないのに涙が出てきて視界が滲んだ。
「うぁあ……ッんぅ、はァ、ぁ、あ……も、っ…!」
 弄られている部分が、段々熱を持っている気がして疼く。だんだんと高まってくる射精感にたまらずぎゅ、とベルナルドに抱きついた。ア、…ッ指だけでイッちまいそう……!
「ッや、ぁあ!ぁ、ン……や、ばッ……あッ……く…ぅッ!」
「ッ、……もうイきそうなの……?」
 顔を上げて嬉しそうに笑ったベルナルドに必死に頷く。
「ン!……ふ、っ、く……!う、ぁん、ぅ……!なッ、なあべる……ッ、…っべるなるどぉ…」
 ぐいぐいとベルナルドの服の裾を掴んでこっちを向かせる。
「ん?なあにジャン……?」
「ぁ、あっ!……も……ッ、い……れて………ンぁ、……ッあ、んたの……ッ、ほし……、よう…!」
 ベルナルドにぐすぐずに溶かされちまった俺は、そんなことを口走るぐらい、もう限界だった。
「ッ、ああジャン……!」
瞬間。ゾクリとしたなにかが彼の背中を走った。
 ベルナルドの双眸に獰猛な光が宿るのが見える。あ、と思ったのもつかの間、ずるりとベルナルドの指が俺の中から去っていくのを感じた。
「……ぁ!」
 小さな快感を拾って、つい腹に力が入り引き止めるような動きをしちまう。はあ、と小さく息を吐いたベルナルドは、俺の窄まりにすぐに用意万端の自身をあてがった。うわッ、もうそんなおっきくなってんのかよう…、もうガチガチじゃねーか……!ちら、と見てしまったモノを見て身体が、頬が、熱くなる。これから与えられる快感に期待でこの男に開発されてしまった奥がきゅん、と疼いた。も、かなり俺っ…末期…?
「ーー……いれるよ」
 そして膝裏を抑えたベルナルドは、ひた、とソレを窄まりに当てたかと思うと、一気にずく、と俺の中を貫いた。
「ンぅ!…ッ……ふ、ぁ、あああー……ッ」
 一番太い部分を呑み込むと後はずる、と奥まで入ってきて、衝撃に背中を逸らしてぎゅ、目を瞑って耐える。暫くして奥まで入った証拠にざり、とベルナルドの下生えが尻に触れた。
ーー……あ、はいっ、……た……。
散々慣らされて、さっきまでこいつを受け入れていたから痛みは当然なく。代わりに、びりびりとした快感が、俺を襲ってたまらなくなって、俺の中を侵しているそれを締め付けてしまう。
「ッく……」
 ベルナルドが苦しそうに眉を寄せた。あ、その顔凄ぇエロいな…。そんなことを考えてる間に、ベルナルドがぐ、と腰を引いた。
「ッひ、ンッ!くあ、あッ!」
 そのままがつ、と打ち付けられて内臓がせり上がるような感覚に身を捩る。
「もうこんなに涎垂らして……これイイの?ジャン…」
「あ、あ、ァッ……!ン、んっ……いい!きもちい……、べるな、ど……きもちい、よぉ……!や、ン…!ソコ、…だめ……!ふ、…あッ!」
 ベルナルドが艶やかに笑って、俺のモノから滴っていたカウパーをつ、と掬い上げる。その指が先っぽをぐりぐり刺激してくるから、もう身体が勝手に反応しちまって辛い。
「ひぁ!……やあっ、あ、ぁ!ひぅ…あ、ッ!う、うッ、そこ……やだあ……!」
「ここ?」
「ーーーひ、うッ!」
 ぐり、と切っ先で奥を貫かれながら、俺のモノを弄られて余りの快感に仰け反る。俺は身体の痙攣が納まらずにたまらなくてなんとかこの熱を早く解放したくて、ベルナルドの服を掴んで強請った。
「ッく、ぁ…は!う、ン……ん、も、べるぅ……はや、く……!」
「ン……?あぁ、限界近いのか?」
 俺の乳首を舐めて弄っていたベルナルドが、顔を上げてうっとりしたように微笑んだ。俺は必死でそれに頷く。もう今にも達してしまいそうで、無意識にベルナルドを締め付けた。
「ッく……、そんなに締めるな、ジャン」
 ベルナルドが苦しそうに眉を寄せる。意識してやってるワケじゃねーの!
「ぁあン!」
 それが良かったのか中でベルナルドのモノが大きくなって、ずん、と俺の良いとこを擦りあげてきて、喉から引きつった声が出る。
「ッ、あ、あ、あッ!や、……んう!」
 限界が近い、そう思うと同時にベルナルドの前後運動が激しくなった。
「あ、ッあ、ン、やぁ!激し……!」
 ゆらゆらとその動きに合わせて、身体が揺れて視界がブレる。もう部屋は、俺たちの熱気に包まれていた。
「っふ……ンぁ、あッ!やば……ッべるな、も、だめ……!は、あ、あ、アン!べる!おねが……いっしょ、……ぁッ、イきた……!」
「ジャンーーあぁ……一緒にイこう」
 ベルナルドは、痙攣が止まらずに喘ぐことしかできない俺の頬に、額にキスを残していく。腰の動きが激しくなって、もうすぐそこまで迫ってきている絶頂に、もう何もかも考えられなくて、俺は乱れたシーツをぎゅ、と握りしめた。
「ん、ン、うッ!あっ、あァ、ッ、……ひゃ、ん!ァ、そこ……ッもっと、もっとして……!」
「ーーー…っ、ジャン…ッああ、素敵だ……可愛いよ、ジャン」
「べる、なるどぉ!ッ、やら……、や!も、イく……、イっちゃ……っ!」
「ーーー…はぁ、ッジャン…好きだ、愛してる」
 ベルナルドの汗が俺の上に滴り落ちてきて、その薄い唇が甘い言葉を囁いた。
「ん!んうう!っおれも…俺もすき!」
 それにうん、うんと頷くとずく、とベルナルドの性器が奥まで突き刺った。あぁ、やばい……もうだめだ、あたま…おかしくなる。
「ふあぁ、っあ、ベルナルド!べるな、ぁ……ふッ、く、ぁ、……あぁあァーーーッ!」
「ッジャン!」
 激しく求められて、これ以上ないくらいの最奥までベルナルドのが届いて。ありえない程の絶頂感が一気に俺を襲う。その瞬間、あまりの快感に、俺はがくがくと身を捩って、仰け反って果てた。と、同時に俺の中でぐん、と大きくなったベルナルドのが、白濁を中に吐き出したのが解る。濡らされる感覚に俺はうっとりしながらふるり、と身体を震わせた。
「ーー……ふ、…んぁ……は、あ…」
 どく、どく、と激しく打ち付ける心臓の音が大きく聞こえて、弾む息を整える。ぎゅ、と瞑っていた目をうっすら開くと、ベルナルドのふわふわ揺れる髪とお腹まで飛んだ白濁が見えた。
「ふ、は……は、ぁ、……べるなるどぉ……」
「っ、ジャン……あぁ、凄く素敵だった」
 ベルナルドはすぐに、満たされたように嬉しそうに俺に抱きついてくる。俺はベルナルドに骨抜きにされちまった余韻に浸りながら、怠くて重い腕を上げて甘いキスを強請ったのだった。



end

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