小説 | ナノ

  結局朝まで




 またこの季節がやってきた。ソウ、聖キリストの誕生日ーーーいわゆるクリスマスと言われるやつだ。そしてイベントごとにかこつけてイチャイチャしたいという願望を持ったカップルどもがそれはもう熱い夜を過ごす日でもある。モチロンそれは俺たちも例外ではなくーーー
「ン、ふ………」
 俺とベルナルドはカウチに座りながら二人、鳥が啄ばむようなキスを繰り返していた。ベルナルドの柔らかい唇の感触が当たるたび、俺の脳を溶かしほわほわと雲の上にいるかのような気分にさせてくれる。俺のダーリンは認めるのも癪だケド…大変テクニシャンで、いつも俺をめろめろにさせる天賦の才能を持っている男だ。それはもう大変感服するしかない腕前で、悔し恥ずかし俺はいつもベルナルドに好き勝手されちまう。うう、顔が良くってキスも上手いって罪だよナ。だってダーリンってば、イロイロ俺を開発しちまいやがるもんだから、身体がタイヘンな事態に陥って毎回陥落するしかないんだもの。それが嬉しいなんて思ってたりする時点でかなり俺も絆されてるってコトか……。あ〜〜結局俺が甘いせいなのけ……?
「………何考えてるんだい?」
 ぐるぐるとそんな事を考えていたら、ベルナルドが目聡く俺に問いかけてくる。俺はアンタのテクについて真剣に悩んでました、なんて言えるはずもなく、さっき思考の片隅にあった考えを慌てて呟いた。
「んー?いや……、ほらさ、今頃アイツら、美女なんか引っ掛けてしっぽりやっちまってるのかなあ、なんて思ってさ」
 ちょっとさみしい、なんて色合いを言葉に載せると、さらりとベルナルドの細い指が俺のブロンドを撫でる。ちら、と横を見ると、優しく穏やかな笑みを浮かべているベルナルドがいて、気恥ずかしくてつい、と目を逸らした。
「フフ…まぁ、ルキーノ辺りはそうかもね…。でも、一番しっぽりするのは俺たち、だろう?」
「ばっか……」
 にやにやとまるでエロおやじそのものな笑みを浮かべたベルナルドを小さく小突いてやる。
時を遡ること10時間程前ーー俺のラッキーのおかげか、はたまた女神サマの気まぐれか、幹部全員とカポのクリスマスを1日だけもぎ取ることに成功した。まあ、これも俺たちの代わりに頑張ってくれている次期幹部候補の部下達と、CR-5がここのところ好景気なお陰だ。いやホント、ありがたくって涙が出るね。
 まさかまさかの事態に、浮き足立った野郎どもの飲みに行くか、という会話の流れをぶった切った俺は「各自ゆっくりしっぽりする」という提案を挙げた。一番わいわいするのを提案しそうな奴が珍しい、とばかりに幹部どもは不思議そうに俺を見たが、カポが乗り気じゃないならと可愛い部下四人共は俺の提案に乗ってくれた。マア、無理やり乗らせたんだケドね。そういうわけで俺たち二人はこうしてしっぽりしているワケです。ボク、ふしだらな子でゴメンネ、ママン。
 実を言うと、アイツらとわいわい過ごすより、たまにはベルナルドと二人でクリスマスを過ごしてえなあーなんて思っちまったワケで。だって、カポと幹部筆頭の立場もあるし、俺たちはイチャイチャしたいなーって時に出来ないことが多いのだ。勿論、あいつらとわいわいする時間だって負けないくらい好きだ。だけど、今日はクリスマスだしな。こういう時間を貰っても、たまには良いと思う。今日くらいナントカっていう恋の神様だってきっと許してくれると思うヨ。
 そんな訳で今日も俺は男らしいダーリンの腕に抱かれているワケで。今この瞬間の幸運をカミサマにちょっとだけ感謝したりなんかしている。
「冷えるワ。ベッド連れてってダーリン」
甘えるように手を伸ばすと、ベルナルドは嬉しそうに微笑んで俺の膝裏と背中に手を回した。
「si」
 俺を抱き上げたベルナルドはソファから立ち上がって寝室に向かって歩き始めた。まるで何処かの国の王子みたいにかっこいいダーリンの横顔をじっと見つめる。首筋からふわりと香る柑橘系の香水とベルナルドの匂いが堪らなく俺を安心させた。あぁ、ダーリンの腕の中ってスゲー心地良い。ずっとこの腕守られてるんだよなぁ俺…。
「さあ、つきましたよ。お姫様」
 このままこの腕の中にいたいと思ったが、すぐにひんやりしたベッドの上に到着してしまう。ゆっくりと離され降ろされてしまう気配に名残惜しく感じたーーので、ベルナルドの首元にするりと腕を回す。
「ん、」
 すると、ゆっくりとベルナルドは俺の上に乗っかり俺にキスを仕掛けてきた。
「ん、あ……。む…、んんー…っ」
 今度は、さっきみたいな優しいキスじゃなくて、俺を全て奪い取るようなキスだ。息もつかせようとしないくらい激しいもので、ついぎゅっとベルナルドの服の裾を握りしめる。
「んぅ……ふ、はぁ……」
 キスの合間に、ベルナルドの節の細い綺麗な指が俺の頬から、首筋、胸の上と這い回り、シャツのボタンを器用に外していく。唇が離れる頃にはシャツの前は全て開けられて、俺の脳みそはとろとろに溶かされていた。アップルグリーンの瞳の色が濃くなり、色っぽく俺を見つめる。ーーーああ、クソ……俺の恋人はこんなに格好良い。
 すぐにベルナルドの唇は、肌を撫で上げ鎖骨から下に下にと移動し、敏感なぷつりと膨らんだふたつの果実へと到達する。
「っ!……ぁ…、ン……っ」
 きゅ、と摘ままれて、思わず息を呑む。背筋から腰へ伝う痺れに、俺の中で薪に火の付いたマッチでも放り投げられたかのように、じわじわと腹の中に熱さが生まれてくる。
「っ、は…待て、って……俺も、脱がす………」
 良いように俺を脱がし楽しんでいるこの男が、余裕をかまして普段と変わらずキチリと服を着込んでいるのが堪らなく癪で、俺はベルナルドのコンプレートのボタンに指を掛けた。
「フ……ああーーー頼むよ」
 そう言い目を細め笑うベルナルドは、また楽しそうに俺の肌を辿り、細い指先が俺の太ももを優しく撫でる。
「ン……ッ」
 その手つきに、つい俺の指先が震えちまう。手が強張ってなかなかボタンが外せねえ。
もたもたしていると、ベルナルドは優しく俺の髪を梳き額にキスを落としてきた。
「まだかい、ジャン?」
「ン、ちょっと待てって」
 急かされて指が上手く動かず余計に手間取っていると、ベルナルドの手がするりと俺の太ももから足の付け根の方に侵略してくる。ついまた、その感触に指先が止まっちまう。ーーうう、コイツ絶対楽しんでやがる……!
「ッ、く……っ」
 意地でも外してやる、と何とか腕を動かして、ようやくコンプレートのボタンを全て外した。
「ぬ、げよーー外した、から」
「ああ、暑いな……」
 そう言うと俺から身を離したベルナルドは、バサリとコンプレートとネクタイを脱ぎ捨て白いシャツだけになる。暑い、と言いながら髪をかきあげる仕草が堪らなくエロティックで、またじくり、と熱が大きくなった。ああダメだ、目に毒過ぎる。
「シャツも頼めるかな?」
 実にイイ顔でにこりとしたベルナルドが、俺の手をボタンに誘導させる。なんか、イヤな笑みだぜ。
「ん……」
 言われるがまま、首元のボタンを一つ外す。すると、ベルナルドの指先がゆっくり胸に触れーー脇腹、腰、とまた俺の肌の上を撫でていく。ゾクゾクとベルナルドの指先から細やかな刺激が伝わってきて、つい腰が浮いちまった。うう、ンな触り方しやがって……!
 それでもぷちり、ぷちりとベルナルドのシャツのボタンを外し、3つ目のボタンに手をかけたところで、つつ、とベルナルドの指が俺のスラックスのベルトにかかる。カチャ、という硬い音が聞こえたかと思えば、なんつー手際の良さかと思うほど早くスラックスを脱がされ下着だけにさせられた。
「っ……、待てって、いってるだろぉ……」
 下着が膨らんでるのを見られて、顔が熱くなる。
「でも、ジャンのココーー触って欲しそうに滲んでるよ?」
 艶やかに笑ったベルナルドが膨らんだそこをつい、と指でなぞる。そんなトコ嬉しそうに見て来るこの男……ああもうホント、変態さんだよ!年々エロ度がレベルアップしてるんじゃねえかな……。………。……いや、してるな。
「ッ……ばか、見んなよう……」
 思わず手と太ももでベルナルドの視線から隠すと、その腕がさっと掴まれた。
「見るなと言われて見ない男が何処にいる?」
「真顔で言うことか、あほ……」
 呆れ果てて小さく溜息をつくと、ベルナルドの人差し指が下着に引っかかってくる。
「ーー早くしないと、ジャンだけ全部脱がせちゃうよ?」
「〜〜っだから、待ってろ、ってばあ……。……ったく、せっかちな男は嫌われるワヨ?」
 今にも下着から飛び出しそうな自分のムスコにヒヤヒヤしつつ、ベルナルドのシャツにまた手を掛ける。
「ジャンに?ーーそれは困る」
 少し困った風な顔をしたベルナルドは、下着に掛けていた人差し指を離した。俺もまた、ぷち、とひとつシャツのボタンを外す。
「っと」
 そのまま黙々と手を動かし、そこからは下までスムーズにボタンを外していく。
「ふ、アレ……、んーーっ……取れねえ……」
 だが、最後のひとつというときになって、何故かそのボタンだけ固く留められていて取れなかった。ーーえ、なんだようこのシャツめ……!新品の最近おろし立てのヤツだからか……?
「ンッ……、ぐう……、っ…」
 ぐぐぐ、といくら引っ張ったり捻ったりしても取れなくて、ますます取ることに躍起になる。
 ………外れねえ。ムカつく。
「ーーーふふ」
 そんな俺をじっ、と見ていたベルナルドは、突然口元に手をやったかと思うと、堪え切れないとばかりにクスクス笑い出した。
「っ、?」
 ーーー何笑ってんだ……?
 怪訝な顔をしてベルナルドを見ると、ベルナルドの手が俺の頭に乗り、髪をさらりと梳いていく。
「ハハーーー俺を脱がせるのに必死なジャン、かわいいな」
「な、なに……」
 何言ってやがんだよう。さらっとそんなことを言われて、恥ずかしさに顔が熱くなった。蕩けそうに甘く細まったアップルグリーンの瞳が緩く弧を描く。優しい笑みが灯って、ただでさえ高まっていた体温が更に上昇してくる。
「もう殆ど脱げているから、いいよ。ありがとう、ジャン」
「………ッ」
 言うと、ベルナルドの手がシャツに伸び、俺が外せなかった最後のボタンを器用に外し、さっとシャツを脱いだ。上半身の裸体だけ露わになった。
「あっ………」
 その動作に、口からつい声が漏れる。あーあ、俺が外してやりたかったのに……くそ……。ちょっと悔しい。
「ーーふう」
 ベルナルドはようやく落ち着いたのか、小さく息を吐いた。と、目の前に、ベルナルドの整った筋肉とか、意外とがっちりした腕とか、きめ細やかな肌とかが惜しげも無く晒されて、俺は思わずごきゅ、と息を飲む。ーーーベルナルドっていつ見ても、良い身体してるんだよな……。っ、むかつくから格好良いとか、思ってても言ってやんねえけど。
「ふ、ーー視線だけで誘い過ぎだよ、ジャン」
「っ、ハァ!?別に誘って、ね……」
 全てを見透かされたような気分で、頭に血がのぼる。ふい、と顔を逸らすと、ベルナルドが俺に覆いかぶさって耳元で低く囁いた。
「ジャンの眼ーーー俺の事を欲しいって言ってる。はあ………凄く…エロい、な」
 息と共に囁かれた声に、全身に電流が走った様にぞわりとした何かが襲う。ベルナルドに変えられちまった俺の身体は、ベルナルドの行動一つ一つにこんなにも過敏で。ーーああ、それが嬉しい、なんて。
「って、ンなこと言ったら……アンタの、声の方がエロすぎだって、の……!……ん、くっ……」
「ーー俺の声でこんなにしちゃうの?……はしたないね、ジャン」
 言いながら爽やかに笑って見せたベルナルドの手が、カウパーでべとべとになっている俺のものを下着越しに触れる。
「く、ぅ……!この、〜〜〜ッ意地悪ィぞ、ベルナルドぉ………」
「フ、ハハ……ごめん。ちゃんと、こう、するからーー」
 ベルナルドの手が、俺の下着を手早く脱がせてそこから現れた俺のものを握る。
「ーーっう、ア!……あっ、あ…!そ、こ……っいきなり……!」
 いきなりダイレクトに与えられた快感に、ぞわ、と鳥肌が立ち俺の口から上ずった声が漏れた。
「ーーああ。ここ、とろとろだ」
 言いながら、人差し指でだらだらと溢れて止まらないカウパーを掬い上げられ、ぐりぐりと軽く先っぽを刺激される。それだけなのに、俺の身体に鋭い快感が走って口から出る声も悲鳴じみたものになった。
「や、…ひ、い……っ!んんン!」
 ーーー何だこれ、っ、ちょっと触られただけなのに。いつもよりも、堪らなくて、凄え、気持ちイイ。
「はあ、う……っン…、そこ、っ、弄るとやば、っ、て………ア!」
 しつこくネチネチと弄られて、脳が揺さぶられるような快感に堪らなく、身をよじる。口から熱い吐息が漏れる。
「ーーあれ、ジャン……もしかして、いつもより感じてるかい?」
「ッ、ふえ……、ンなの…、知るか……っ」
 意地悪く笑いながらそんな事を聞かれ、俺は羞恥に顔を背けた。アンタのえっろい身体に煽られたとか、そんな事言えるか……。
「こっちまで、ジャンの先走りが滴ってひくひくしてるーーすご、ッ、はあ、堪らないな……」
「ーーッ、うぁ、んっ!」
 ベルナルドの長い指が、俺のモノからつつつと肌を辿りいつもこの男を受け入れている秘められた入り口をなぞった。それだけで、いつもより敏感になっている身体は反応して、口から声が漏れる。
「指、入れるよ……」
 言うなり俺の先走りでべとべとにした中指を、優しくーーそれでいて焦らすようにゆっくりと俺の体内へと進めてきた。
「ウん、ン………ふ、う……ッ……!……はぁ、あ」
 一本だけだが長いベルナルドの指は、根元まで入れば俺のイイとこまで届いてしまう。身体の内側から侵略されるような感覚に、肺から自然と息が漏れ出た。一本だけだと、そんなに圧迫感は無くて、すんなりと奴を受け入れる。
「くーー熱い、な………。ジャンのなか、俺の指を溶かすくらい喜んでる」
「ひあッ、う!ーーそこ、ッン、ソコ、ぁ……!ビリビリ、くるう……」
 途端に少しふく、っとした前立腺がある場所をぐりぐりと指で押されて、涎が垂れるほど気持ちよすぎて腰が浮いちまう。つい、きゅう、とベルナルドの指を締め付けてしまうと、指の形がはっきりと分かって恥ずかしさが込み上げてきた。
「ふふ。ココ弄ると、ジャンはすぐイッてーーもっともっとって言うんだよ?」
 ベルナルドは弾んだ声で楽しそうにそんな独り言を放ちながらわざと、今度はもっと強くソコを押してくる。俺は文字通り、ベルナルドの手中で思う様転がされていた。
「ーーッ、んぁ!……く、うう!や、やだ。それ、そこ……っ、触んないで……」
 ぐわりと迫ってくる快楽の波に、俺は必死で身を捩る。まるで侵略してくるかのように奴の指は俺の理性を一枚ずつ剥ぎ取り、すっかり俺のモノを高ぶらせていた。一本だけでもベルナルドの指ってだけでホントに気持ちよくて、本当に悔しいかなすぐにイッちまいそうになる。ブルブルと震える身体をなんとか静まらせようと努める。
「あ、あう……ッ、は、あ、ンぁ、あ!やら、そんなすんなぁ!」
 だが、そんな努力も虚しく。ベルナルドは更に俺を追い詰めるように指を二本に増やして来た。堪らなくて、あられもない声が口から漏れ出て、でも抑える事も出来ない俺は、せめてもとシーツを握りしめる。
「ジャンはコレもーーーとても好きだよね?」
 言うなりにや、と口の端を上げたベルナルドが二本の指の腹で俺の前立腺を刺激しつつ激しく出し入れして、粘膜を擦り上げる。
「〜〜〜あ、ああ、あッ、ン!」
 粘膜がはしたない音を立てて、指が俺の中を蹂躙する。そのあまりの快楽に、俺はだんだん何も考えられなくなってきていた。アタマの中が馬鹿みたいに気持ちいい事で占められる。
「やぁ、……だめ、……あうッ!」
 弄られたところから刺激が襲ってきて、じくじくと俺を追い詰める。その快感がまるで身体の内に蓄積されているかのようで、俺を飲み込むだろう大波はもうすぐそこまで来ていた。これだけ弄られていれば、限界が来るのは当然でーーその予感に俺は何もかも考えられなくなってベルナルドの首に腕を回して、しがみついた。
「ひゃ、ん!ああ、あ……きもちい、べる、あ、きもちいよう……っ!」
 もうとっくに理性などぶん投げていた俺は、ただ与えられる刺激に子供のようにベルナルドに訴えかける。ベルナルドはそんな俺を優しそうな、満足そうな瞳で見たかと思うと動きを早めた。
「ーーも、いく……イク…!ぁ、あーっあ……!」
「いいよ、イッてーーージャン…」
 耳元で、ベルナルドの優しい美声が注ぎ込まれる。それは俺の欲望を弾けさせるには充分の破壊力だった。
「やら、ぁーーーひ、あ、あああっ!」
 ベルナルドが指でぐり、と中の前立腺を刺激した途端、俺は耐えきれず腰を浮かせ達する。勢い良く出ちまった精液で自分の腹を濡らした。ベルナルドの指が俺の中から抜けていく。
「あ、あぁーーふぁ、……ぁあ、う……」
 通りすぎた快楽の余韻で、どくどくと高鳴る心臓と呼吸を必死に整える。快楽にまだぼんやりとした頭でベルナルドに視線を向けると、甘い色を灯すアップルグリーンの瞳がこんな俺の痴態を見つめていた。そんな視線から毎回恥ずかしくて逃げ出したくなるのに、きもち良くてもっとして欲しい、なんて矛盾した感情が生まれてくる。
 ーーやべえ、凄くキモチよかった。指だけでこんな、すぐーー。ああもう、おじちゃんがテクニシャンすぎて困る。
「すごいな……こんなに出てるよ、ジャン。抜いてなかった?」
 ベルナルドが腹に落ちた俺の精液を、俺に見せつけて艶やかに笑った。そんな男の行動に恥ずかしくなってきて、俺は顔を背ける。
「やっ、見せんな……。つーか、忙しくてそんなヒマなかったろ……?………アンタは違うのかよ?」
「いや。俺は殆ど電話部屋に篭りきりだったからね。まあやろうと思えば出来たかもしれないがーー」
「?……なんだよう」
 そこで言葉を区切り、ベルナルドは俺をじっと見てクスリと笑う。その意味深な態度に首を傾げていると、ベルナルドはまた俺の耳に口元を寄せる。
「俺の濃いアレをーーーたっぷりお前の中にぶちまけたかったのさ」
 囁かれたベルナルドの低い美声に、ぞわあ、と耳から全身に快感が駆け抜けた。しれっとした顔でそんな事を言われ、頬が熱くなる。
「ッ!?……っわ、わーー。ホントにこのオジちゃんヘンタイなのネ。知ってたケド」
 ーーーウン。いや、分かってたけどな!?
「ジャンだって、いつも出してって俺にねだるくせにーー」
「は………、ーーッ!」
 ベルナルドのその台詞に俺が反応を示すよりも早く、ベルナルドの指がまた俺のナカに進入を果たして来て、そのあまりの性急さに息が詰まった。
「ここで、嬉しそうに締め付けてきて……俺のを欲しがってーー」
 そう囁かれてぐりと前立腺を押されれば、反射的にベルナルドの指を締め付けちまう。指の形がハッキリと分かって、さっき出したばかりの熱がまたぶり返してくる。じくじくと炙るような熱が生まれ、俺の屹立はまたはしたなく勃ち上がった。
「ふ、ぁっ!あ、あっ、いきな、り……んぁ!やめっ、んっ!」
「ンーー?」
 身を捩って抵抗しているのに、ベルナルドは俺を他所に容赦なく俺の良いところを擦り上げる。ーークソ、なんか、今日ホントに意地悪ぃな……!
「やッ!…う……はぁ、っ……く!」
 息も絶え絶えになりながら快感に流されるままベルナルドを見る。
「ほら、凄いよ?」
 すると、ベルナルドはずるり、とナカに入れていた指を抜くと俺の勃ち上がったソレを見せつけるように撫でてから、俺の言っている事は当たっているだろうとばかりに満足そうに笑った。
 ーーむ。なんだよ、俺ばっかり……!
 その余裕ぶった男の言動が恨めしくて、俺は負けじとまだ数枚の生地によって押し込められているベルナルドのモノに触れる。そこは布地がこれでもかというほど押し上げられていた。
「それは……アンタも、だろぉ……?……ほら、パンパンになってるぜ?」
 そう言ってにや、と口角を上げてベルナルドを挑戦的な瞳で見つめる。俺はわざと、宙に浮いていた足をベルナルドの腰に絡ませて尻を布地を押し上げている屹立にぐり、と押し付けてやった。
「ッ!」
 お互いの熱が伝わり、じんわりと熱さが生まれる。ベルナルドは、突然の事に驚いて苦しそうに顔を歪めた。俺は余裕が無いながらも内心ベルナルドもそうだと悟って笑みが零れる。
「……く、は、ああ……。う、俺のジャンは、いつからこんな小悪魔になっ
てしまったんだーー罪深すぎる……、っ、はぁ」
 何かを耐えるようにそんな独り言をブツブツと呟くベルナルドを他所に、俺はさっき生まれた熱がどんどん膨れ上がってはち切れそうになるのを感じていた。自分でやっておいてなんだが、ベルナルドの硬さとか伝わってきて大ダメージだ。弄られたナカが気が狂いそうなほど熱い。身体が覚えてしまったこれ以上の快感が欲しくて堪らない。
「ぁ、ふ、なに言ってやがんだよう……。も、そゆうのいいからーーー」
 俺は堪らずベルナルドのスラックスに手を掛けた。ずるり、と一気に脱がしてしまうと、生々しい久方ぶりに見たベルナルドのそれが姿を現す。
「そうだね、……一緒に気持ち良くなろう、ジャン」
 そう言って、俺の好きなーー俺にしか見せないとびきりの顔をして唇に優しいキスを落とした。
「ふ、ぁ………ン」
 唇からぽわり、と心臓に暖かくて気持ちいい感情が流れこんでくる。この瞬間が堪らなく好きだ。ベルナルドから愛情を注がれている瞬間。俺の全身の力が抜けていく気がした。
「ーーーは、ああ。ジャン……いくよ」
 見計らったように、カウパーでベトベトになっていたベルナルドの屹立が当てがわれて、ぐ、と俺のナカを押し広げ入ってくる。
「う、あっーー!く、あ、あうっ!ヒッーー」
「ーーっく、すご……ああ……っ」
 力が抜けていたおかげか、ベルナルドのモノはあっさりと侵入を果たした。けど、いつもながらこの圧迫感は慣れない。はあはあと息を吐いていると、ベルナルドが俺の髪を撫でて心配そうな瞳をした。
「久々だからね……、辛いかい?」
「ふぁ、は、平気……っだよう……。いいから、動けって」
 早く待ち望んだ快感が欲しくてもじもじと腰を揺らすと、ベルナルドはギラついた視線を寄越して口角を上げる。
「ーーーなら……遠慮ッなく」
 言うなりベルナルドは、ぐぐ、と腰を動かしたかと思うと、大きく身体を揺らした。
「っ、〜〜んんッ!あッ!うぁ、んっ!はげ、し……ン、べる、なるどぉ!」
 ぱちゅん、という水音とともに、ベルナルドと俺の肌が幾度もぶつかる。ホントに遠慮が無くて、初っ端から飛ばしてくる動きに俺はシーツを握りしめるしかなかった。
「ふ、ぁあっ!あっ、あう、やぁ!……おく、すげ、……っ、はぁ、ああう……!」
 ベルナルドによって開発されちまった奥にベルナルドのが幾度もぶつかって、久々に教えこまされた快感が蘇ってきてゾワリと肌が粟立つ。あまりの快感にまるで底が見えない穴に落ちていくようなこの感覚は、どこか懐かしくてそれでいて怖いのだ。
「きもちい、……っア!ひぁ、そこ、イイ……、はぁ……う、…やば、も、すぐイきそうだよう……」
「はぁ、……く……、久々で、俺もすぐ、イきそうだ」
 苦しそうにそう呻いたベルナルドの動きが、さっきより一層激しくなる。それに呼応するように自然と俺の腰も動いた。
「あっ、あっ!い、いよう……ッ!はぁ、あ、っきもちい、べるなるどぉ!〜〜ひぃ、ッう!」
 前立腺と奥を交互に擦られれば、耐えきれなくて俺は快感を追いかける。こうなれば、とっくにベルナルドの事しか考えられなくなっていた。
「〜〜ひぁ!ぃあっ、あッ!いく、だめ、いく!〜〜っ、あっあッ!」
「う、俺もだ、はぁ、っ!ジャン………ッ!」
 俺が限界を訴えるとベルナルドも唸り、身体を大きくグラインドさせる。ごちゅ、とベルナルドのが俺のナカを一気に奥まで貫いた瞬間ーーー
「〜〜〜ふあ、ぁ、あああっ!」
「ーーーッ!、ぐ!」
 その衝撃に堪らず俺は白濁を吐き出して果てる。俺に続くようにベルナルドも俺の中で欲を吐き出した。
「ーーは、う、っは……。はあ、はぁ……ん」
「ーーふ、ふ、はあ……」
 達した衝撃に俺たちは忙しなく息をつく。ほっとした暖かさを感じながら、なんだか口元に笑みが零れた。
「はあ、ふ、……はっええ……。久しぶり過ぎて、すぐ出ちまったよ……」
「ふ、ああーーー俺も……、溜まりに溜まってたモノが出た……」
 たっぷりと出て液体やらでぐちゃぐちゃになっている俺の腹の上が見えて気恥ずかしい気持ちになりつつ、ベルナルドと甘いキスを交わす。こうして繋がれたことで、色々不足してた俺の心が満たされた。やっぱり、ベルナルドとするとこんなにも違う。
 ーー久々なのに、こんな気持ちいいとか……。俺、もう一人でしても満足できねえカモ。
 そんな事を考えているとーー
「ひ、やッ!」
 ずちゅり、と突然まだ俺のナカにいたベルナルドのが動いて、前立腺を刺激してきた。突然の事にまだ敏感なナカが刺激を拾ってきて、口から声が漏れる。
「な、なにーー、っん」
「ーーまだ休むには早いよ。遠慮、しなくていいんだろう?」
 そう言って笑ったベルナルドの眼はやけにギラついていた。俺を見つめる野獣のような眼光に、ゾクゾクとした快感が俺の中にまたじわりと現れる。つい、ゴクリと息を呑んだ。
 ーーーああ、まだまだ足りねえんだ。もっともっと、アンタで一杯にして欲しい。アンタの形を覚えてしまうくらいに。
 俺は苦笑して、ベルナルドに手を伸ばした。
 ーーまだまだ聖夜は終わらねえな……?


END

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