此処は名門お金持ち校“氷帝学園”
お金持ちのお嬢様、お坊ちゃまが通うような所。
例えば会長の“跡部景吾”
何でも完璧にこなしてしまう彼はこの学園の誇りだろう。
そんな学園の図書室に不釣り合いな物を見ている1人の少女。
「うーん…今日は豚肉が80%引きだから夜ご飯はカレーかなぁ。」
特売チラシを見ながら唸っている少女は“長谷川夏香”
なんで見るからに庶民な彼女がこの学園に居るかって?
それは…
「また安物のチラシ見てんのか、アーン?」
「ほっといてー」
「そんな安物食わなくても、俺様の家に食べに来れば良いだろうが。」
「景吾の家の食事はお口に合いませーん」
夏香と跡部は幼なじみなのだ。
だから庶民の彼女も跡部のお陰でこの学園に通っている。
「てか、弟妹達にあんな物食べさせられないわよ」
両親が海外に単身赴任している為弟妹がたくさんいる夏香は家の大黒柱である。
「俺様は昔っからアレ食ってきてんだぜ?」
「はいはい、金持ちと庶民は違いますよ〜」
その言葉が引っかかったのか跡部は眉を寄せた。
と思うと、今度は何か企んだ笑みをしながら夏香の腕を掴んだ。
「!?」
「じゃあ、俺様が庶民の勉強してやるよ。」
「まずは俺様に“味噌汁”でも作って貰おうじゃねぇの、アーン?」
「はぁっ!?」
「この俺様には普段のゼロの数なんて関係ねぇからな。」
そう優しくでもどこか自信ありげな笑顔で言ってきた彼に、私の胸はトクンと鳴った。
「もう、しょうがないんだから///」
ゼロの数
(てか“俺の為に味噌汁作ってくれ”なんて庶民的な台詞どこで覚えたの)
(忍足の持ってた小説に書いてあったぜ)
(あぁ…)