夏は嫌いじゃ。
暑いし、だからと言ってクーラーかけ過ぎれば腹を壊すし…
良いことなんて、一つもないじゃろ?
でも今は“好き”って言ってもええかもな。
SUMMER BREZZE
「海行きたいなぁ」
最近できた新しい彼女。
また遊び心で俺に近づきたい女なんじゃろ、と思いつつ告白をOKした。
名前は“夏香”。
最初は今までの奴と違うて、ベタベタしてこんから正直驚いた。
でも、今考えれば俺のことを本気で愛してくれていたから、と思える。
夏香が本気で愛してくれるから、俺も夏香を本気で愛している。
多分、初めてじゃな。本気で好きになったのは。
そんな夏香から初めての、デート(じゃろ?)のお誘いじゃ。勿論断る意味もない。
「あぁ、いいぜよ。ちょうど今週の日曜は休みじゃき。日曜に行こうかの。」
「ホント!!やった♪」
まぁ、ここまでのは昨日の話であって……今日は、朝から最悪じゃ…
リリリリリ リリリリリ リリrバシっ!
「………今、8…時?」
………7時じゃない?
………ガバッ!!!!
ヤバい!!
寝過ごしたぜよ!!
俺としたことが、昨日の夜は楽しみ過ぎて眠れなかったのがバカじゃった!!
俺は遠足前の子供か!?←
約束の時間まで後10分。待ち合わせ場所に行くまでにかかる時間は3分。
…完全に遅刻ぜよ
とりあえず急いでシャワーを浴びて、着替えて夏香が待つ場所へ走った。
今日はかんかん照りの晴天じゃ。
いつもは嫌いなこの夏の天気。
今は心なしか、凄く気持ちよく感じる。
待ち合わせ場所に着いて、夏香を見つけた。
急いで駆け寄るものの、「待たせてゴメン」の一言が出てこない。
「雅治!!もー、遅いよー!!」
だって…なんじゃ、この可愛い生き物。
俺の彼女じゃ勿体無いぜよ。どっちかというと幸村と居る方が釣り合いそうじゃ。
今の俺、息なんか切らしてかなり格好悪いぜよ……
心の中で一人溜め息をついてるのを夏香は知ってか、(まぁ知らないじゃろうが。)俺に微笑んで、手を取った。
「ほら、早く!!」
「お…おぅ」
俺らしくない火照った頬を冷やすように、冷たい海風がかすった。
好きな季節?夏かの。
(だって君がこんなにも可愛いから)