お隣さん荒北とシンママ2



「これ、うまかったデス」


休日のお昼どき、律儀にお弁当箱を洗って返しに来た荒北さん。
先日息子の遠足に合わせて一緒に作ってみたものの手作り弁当なんて迷惑かと思い、渡すか迷っていたところ息子のお弁当自慢を聞いた荒北さんから申し出てくれた。




「おかあさんのお弁当、今日はすぺしゃる!」

「え、俺も食いたいッス」

「実は、」

という、息子のナイスアシストに感謝。
エビフライと唐揚げというお弁当の二大巨頭に副菜をちまちま添えて結構頑張ったのだ。




「でも息子用と一緒に作ったし、胃がもたれちゃう中身だったでしょ」

「俺こども舌なんで最高の弁当でした」

「まあ」

荒北さんはこども舌、脳内でしかっりメモした。
例え方便でも嬉しい。






「じゃあ今度は焼き肉弁当にしようかな」


「…今度があるんスね」


荒北さんが凄く嬉しそうに笑うのでドキリとしてしまった。
なんてこった。シングルマザーとして毎日気を張って生活していたけど自分の女の部分が久しぶりに顔を出そうとしている。
今お昼寝中の息子への罪悪感がすごい。



「親子遠足でしたっけ、少し日焼けしました?」

「う、うん。すごく良いお天気だったから」


こらこら、アラサーの肌をなんて目で見てるんだこのこは。一瞬ギラリとひかったような気がする。

まさかとは思っていたけどまだそういう目で自分を見る男性がいるという素直な喜びと、それが年下のお隣さんだという驚きと、息子への申し訳なさでかなり複雑だ。
途端に袖から覗く荒北さんの腕の筋肉や首筋に目がいってしまう自分のいやしさに情けなくなる。


「あの、俺」

「あっ息子が起きちゃう前に洗濯済まさなきゃ。それじゃあまた」


荒北さんの言葉を受け止めてはいけない気がして遮る。無理やり背中を押して手を振って玄関の扉を閉めた。


ガチャン


自分の首もとや腕に残った日焼け後を見てため息を吐いてしまう。
違う。これは親子遠足で母親として過ごして息子と一緒に日焼けしたのだ。年下の男の子を欲情させるものなんかじゃない。

言い聞かせるものの、あのギラリとひかった目が脳裏にこびりついて離れない。


「こまったなー」





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