なんかこわい荒北4



「苗字ちゃん、浴衣もかわいーネ」

「あっありがとう」


友達と一緒に近所の夏祭りに来たら偶然にも荒北くんに会った。
学校じゃない所で会えるなんて嬉しい。
しかも褒めてもらえた。

「ひとりか?」

「違うの、友達とはぐれちゃって」

そうなのだ、来て早々にはぐれてしまった。
さっきから電話も出てくれないし、困った。

「俺、東堂と新開待ってんだけどサ、」

ふたりでまわろっか。


いきなり耳元でそう言われてまたビクッと反応してしまう。
しかも気づけば手を握られてて、驚きとドキドキで言葉が出ない。近い。

「ホント、何でそんな反応するかねェ」

挙動不審な私に比べて荒北くんは楽しそうに目を細めてる。
うう、かっこいい、、


「何か食べるか?」

「えっと、私お祭りのチョコバナナが大好きで、」

そう、今日の目的はチョコバナナといっても過言じゃないくらい私はお祭りのチョコバナナが好きだ。

「ハァ」

すると荒北くんは顔を手で押さえて溜め息を吐いてる。
え、チョコバナナ嫌いだったかな。

「荒北くん嫌いだった?」

「いや、天然ってこえーなって思っただけ」

「??」

「ウン、とりあえずチョコバナナ買いに行くか」

「やったー!」


指が絡まるように手を繋がれて人混みに入っていく。
細くてゴツゴツした指にドキドキする。
というか、これってデートみたい。


「苗字ちゃん、すぐ真っ赤になるネ」

「え、荒北くんのせいだよ」

「ヘェ」

また笑ってる。
ああ、荒北くん好き。

「好き」

「ハ」

「チョコバナナが、好き」


固まってしまった荒北くん。
いつも私ばっかりドキドキさせられてるからその仕返しだ。

「苗字ちゃん、お仕置きネ」



わ、荒北くんの唇が、


人混みの中でキスされた。





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