どうしようもない3
なんか、気にくわないやつ。妙な存在感。
そんな印象だった苗字に下心を抱き始めたのはいつだったか。
袖の隙間から少し見えた脇に、揺れる髪に隠れた首に、耳に、目に、口元に、苗字の身体に見入ってしまうのはいつからだったか。。
その温度、質感、そして反応を想像するようになったのはいつからだったか。
「荒北?」
斜め下から覗き込みやがって、コイツ。
サバサバとした性格がよく表れた少し切れ長な形のいい目が好きだ、と、思う。
「なんだよ」
「いや、さっきから無言で見てくるの何」
何って、何だよ。好きなんだよ。
と、言えてしまえたらどれほど楽なんだろうか。
「また無言?」
「…うっせ」
どうすりゃいいんだ。わからなくて悪態をつく。
ちょっと笑ってくんのがくそ可愛いとか別に思ってねえから。
「あ、今日うちで模擬試験の復習しない?解けない問題いっこあったの」
「…おう」
「尽八と隼人も誘う?」
「どっちでもいいけどォ」
来たらコロス、てラインしよ。