どうしようもない2

一度諦めた男に組み敷かれている。

「荒北?」

高校1年の私の恋は2年間ですっかり頭の片隅に追いやられて埃をかぶってしまっていた。
高校3年になるころには荒北が丸くなったこともあり、すっかり仲良しになった。
部活引退後、最近では同じ理系ということで一緒に勉強することがよくあって、今日は私の部屋でふたりきりの勉強会だった。いつもは尽八か隼人が何故かお目付け役という名目で荒北と一緒にやってくる。


「油断し過ぎだろォ」


だって、
以前より距離が近づこうが何だろうが期待しない方が自分が惨めにならなくて済む。
今の距離が心地好いならもうそれで良いじゃないか。


「…私のこと好きなの?」

「たぶん」

「たぶんって何」

「最近触りてたくておかしくなりそー」

驚いた。
荒北こんな顔もするのか。
欲を含んだ視線が刺さる。

「俺のこと好きになれよ」

うわ、
なんて心臓に悪い。
私の恋心に積もった埃が消し飛ばされてしまった。
そんな顔しなくたって私は、

「ずっと好きになっちゃいけないと思ってた」

「は?」

「荒北好きだよ」


「…は?」

なんで驚いてるんだ。
つるつるぴかぴかになった気持ちが膨らんでどうしようもなくなってキスしてしまったからか。



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