お隣さん荒北とシンママ
※たぶんつづく
離婚して当時3歳の息子とこのマンションに越して来て一年経つ。
「来週の遠足楽しみだね」
「おかあさんも、いっしょなのうれしい!」
朝、保育園まで送るためマンションの駐輪場まで息子と手を繋ぎながら歩く。ペラペラ喋るようになった息子が可愛くて仕方がない。
「あ!あらきたさん!」
突然走り出した息子の先には水色のロードバイクを片手で押す、お隣の荒北さん。
「朝から元気だなァ」
「おはよー!!ねえ、かたぐるまして!」
「駄目、荒北さんこれからお仕事行くの」
すると荒北さんは駄々をこねる息子をヒョイっと持ち上げてしまった。
「全然気にしないでいいっすヨ」
「ありがとうございます」
荒北さんのこの薄く笑った笑顔が素敵だな、と思う。
「駐輪場出たとこで坊主と遊んでるんで、その間にママチャリ持ってきちゃって下さい」
「ほんと、ごめんなさいね。ありがとう」
マンション内で出会うといつも息子と遊んでくれるし、気を使わせないような態度にすごく助かってる。
自転車を押して行くと当たり前のように荷台のチャイルドシートに息子を乗せてくれる。
「よかったら、今度ご飯食べに来て下さい。たまにはお礼させて?」
「…いいんスか?」
「もちろん!」
私に続いて息子も大声で真似する。
「あらきたさん、おうちであそぼ!」
「オウ」
頭をガシガシ撫でられきゃーっと喜ぶ息子にすごく嬉しくなった。