曖昧な男女関係
二人っきりになると何故か体を寄せ合い、ときにはセックスまでしてしまう。
仕事終わりにクラウスに報告してソファでギルの入れた紅茶を飲んで何故か気付けばザップが隣に座って私の肩で寝始めて、私もいつの間にか寝ちゃって起きたらザップも起きて目があって自然とキスして、みたいな流れでみんな出払ってて誰も居なければ事に及んで最後は何事もなかったかのように家に帰る。なんてことが日常になりつつある。
「名前、ほんと悪いこと言わないからくそ猿はやめとけって」
チェインがすがるように言ってくるけど時はすでに遅しというやつでやることやってるんだよな。これがどんな関係かはよくわかんないけど。
「気付けばセックスフレンドみたいになっちゃてさ、別にザップ嫌いじゃないからいいんだけど…ん?みんなどうしたの」
私とチェインの会話を聞いていたであろうみんなが口をあんぐり開けてこちらをみている。
「今回ばかりはくそ猿に同情するわ」
「名前さんそれザップさんに言っちゃ駄目ですよ、落ち込むと面倒ですから」
「レオ、どういう意味?」
「いや残念ながら聞いてしまったようだ」
スティーブンが事務所の入り口で脱力してるザップの首もとを掴んで引き摺ってきた。
「ザップ、君はちゃんと伝えてるのかい」
「…一応言いました」
「馬鹿ね、仕事終わりの名前は半分魂抜けちゃってるんだから覚えてるわけないでしょ」
「あらかたそこに漬け込んで始まった関係だろう」
「ほんとクズ」
「だって女遊びもやめて名前としかヤってねーし、ていうかこいつ嫌がんねーし、、わかってると思うじゃん」
え、何の話?たぶん当事者の私が置いてきぼりをくらってる。レオに助けを求めればチェインとスティーブンに言葉のナイフで刺されてろくに言い返しもできない状態だと説明してくれた。なにそれいつも通りじゃない。
「名前はとんでもなく抜けてんのよ、そこが可愛いんだけど!!」
「ちゃんとはきり言ってやらなきゃわからないさ」
あれ、言葉のナイフ私に向かってない?気のせい?
「だー!!うるせえ!言えばいいんだろ!!」
「うわ、なに」
ザップに急に肩を掴まれ向き合う。
「っ」
「…?」
「俺とヤんの嫌いか?」
「ううん」
「じゃあ俺以外ともうすんなよ、いいか?」
「いいけど」
え、どういうこと?
「今まで通りセフレ?続けるってことでいいんだよね?ん?」
チェインが横からヘタレ猿死ねって野次入れてくる。
目の前のザップはショックを受けたような表情をしてみたり顔を赤くしたりと百面相に忙しそうだ。
「そのセフレってやめね?」
「じゃあ、ヤんないってこと?」
「ちげー!なんていうか、その、あれだ…」
「何もうめんどくさいな。私はザップ好きだしセックスできるし、ザップも自分以外とセックスするなって言うしもういいじゃん」
「う、嬉しいけど!そうじゃなくてよ、、こここ、」
「こここ?」
「こ、恋人ってのはどうよ?」
「…え!?」
私とザップが!?なにそれ恥ずかしい!!
「チェイン!どうしよう!!」
「名前の照れるところよくわからないわ。いいじゃん恋人」
「わあ!やめて恥ずかしい!うわっ」
ザップに担ぎ上げられた。これ苦しいんですけど!
「辛抱ならん!今すぐぶちこむ!」
なにそれ、こわい。
チェインとスティーブンが同時にザップに攻撃を仕掛けて救出された。
ザップの意識がもどったらキスしてあげよう。