なんかこわい荒北2

※色々あって二人で狭い所に閉じ込められました


「あ、荒北君、あの、手が」

あたってる、お尻にあたってる!
向き合った状態で密着してしまっているので荒北君の顔は私の頭ひとつ分上にあり、表情は見えない。
けどさっきからだんまりな荒北君の喉からゴクリと大きく聞こえた。
な、なに。やたら大きく聞こえたそれに何だかいてもたってもいられなくなる。
こう、もう少し体がずらせればせめてお互いの足が絡まなくても済むんじゃないかな、

「…苗字ちゃん、あんま動かないでもらえっかな」

「えっ、あ、ごめん、でもほらこうしたら足が楽に」

「あのさァ」

「っ」

突然耳元で喋られて肩が跳ね上がってしまった。

「そこくすぐったいからっ、喋らないで」

「服ごしとはいえさ、苗字ちゃんと体が擦れあってんだよな」

荒北君の鼻筋が首を撫で上げてくる。
ゾクゾクと背中に変な感覚が這っていく。心臓が爆発しそうだ。

「あっ」

お尻にあたってる手が動き出した。
ゆっくりとスカートの中に入ってきた手はすこし湿っていて荒北君の緊張というか焦燥のようなものを感じる。

やだ、はずかしい、こわい、変な気持ちになる

「荒北君、心臓が爆発しちゃう、なにこれ、こわい、」

目に前の胸元にしがみついてそう言えばまたゴクリと聞こえ、パンツのラインをなぞっていた手が止まった。

大きく深呼吸るす荒北君。それから舌打ちをしてあー、うー、と唸り声を上げる。

「えっと、」

「あ"?」

「ひ、ごめんなさい」

「…」

顔は見えないけどすごい睨まれてるのがわかる。
私はまた知らない間に怒らせてしまったみたいだ。

「ったく、謝んな」

ぎゅっと抱き締められた。
荒北君が好きだけど荒北君がわからない。
さっきの変な気持ちもわからない。
わからないのはこわい。

「やな触り方して悪かったな」

「あのね、嫌じゃないの。荒北君に触られると変な気持ちになっちゃうの。それがなんかこわくて」

「変な気持ち?」

「恥ずかしいともっとして欲しいって気持ちが混ざってよくわからなくなる」

「…人がせっかく頭冷そうとしてんのに、なんなの苗字ちゃん」

「でもこうして抱き締めてくれるのはこわくないよ。好き」

「生殺しってこういう事なのかね」

「?」

「覚悟しとけよ、いつかめちゃくちゃにして食っちまうから」

こわいこと言ってるけどおでこにキスしてくれる荒北君はやっぱり優しいな。



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -