泣く凛とキレてるマネ

※鮫柄が共学の体



放課後、図書館でいつもの定位置に座り、試験勉強をしていると凄い勢いで図書館の扉が開いた。

なんだようるさいな。只でさえ苛々して集中出来てなかったのに。
扉の方を見るとなんと校内だというのに水着姿の凛がいた。一応ジャージは羽織ってるけど。しかも顔をクシャクシャにして今にも泣きそうだ。
幸い図書館には図書委員と私しかいないが、私達はその異様な登場に開いた口が閉まらない。

そもそも苛々の原因は凛である。一方的にぶちギレられ、それから一週間ほど口をきいてない。


「名前」

「…」

「なあ、」

「…話しかけないでもらえますか。ていううかなんで水着なの、気持ち悪い」

「う、ううう、」

あ、泣くな。と思ったときにはもう号泣。

「ちょ、うるさいな。出てって下さい」

「なんで敬語なんだよおお、やめろよそれええ」

ヒックヒックとしゃくりあげながら叩かれた。は?

「いたい。なんなのうざい」

「あっごめ、ごめん」

「急にキレたり泣いたり、ほんとなんなの」

もう、知るか。
こんな情緒不安定なやつ。

捕まれた腕を振りほどいて図書館を出ていく。
後を付いて来てるけど気付かないフリをする。
それにまだ泣いてるらしいく嗚咽が聞こえる。
優しくなんてするものか。

廊下をカツカツ歩いていればすれ違う他の生徒達のぎょっとした反応にうんざりしてしまう。
あの水泳部の部長がわんわん泣きながら女の後を付いて歩いてるのだ。そりゃそんな反応するわな。


「お、見つけた」

「宗介…」

これまたやっかいな人に会った。
どうせ凛のフォローでもしに来たのだ。
なにも言うな、と訴えるように睨む。

「いつになくこえーな」

両手を上げて降参だ、と言ってる。


「凛、お前急に飛び出てくから大混乱だったぞ、ただでさえマネージャーがボイコット中なんだから」

「ああ、す、まない」

宗介はしっかりこちらを見ながら嫌味を言う。
あーやだやだ。
そもそも気が効かないわ、そのくせ繊細だわ、もう男の集団の中に居たくない。


「オラ、着替えとカバン持って来てやったからお前今日は帰れ」

宗介、余計なことを。というか甘やかすな。

「ありがとな、そうする」

お前も甘えるなよ。
部長になったんだろうに。
もう宗介と付き合えよ。
言ったらまた号泣されるから言わないけど。


「あっ名前さーん!」

「おい、百今はやめとけ」

苛々してるときに飛び付いてくるももが悪い。
顔面にグーがめり込んだ。

ていうかこうも水着姿で校内ウロウロしてるやつらがいてたまるか。

はぁ、もう



「凛、結局なに?」


「あっ、ごめん、」

「何に謝ってるわけ」

「名前の話ちゃんと聞かないで勘違いして怒鳴っちまった」

珍しく100点だ。びっくり。
勘違いにも気づいたようだしよかったよかった。


「それに気付いて部活中に飛び出してきたってわけ?」

「…ああ」

「後で仲直りしよ、とりあえず部活戻りなよ」

「でも宗介が」

「も ど り な」

「はい」

私は宗介みたいに甘くないです。

そして部活後、さっきと打って変わってしっぽを振った犬みたいなテンションの凛が部屋に来たとさ。


「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -