黒い瞳と記憶

何だか体が揺れいて居心地が悪いくなり目が覚めた。

「…ぎゃああああああああ」

驚いた。私はビルとビルの間を飛んで移動していた。
「ちょっとうるさいよ」

更に驚いた。綺麗な黒髪美人のお姉さんに私は抱えられていた。

「だ、誰!?何で!?」

そうだ。私は仕事を終えたあとくたくたな足取りで自室のベッドまで辿り着きそのまま寝てしまったはずだ。


「君、今命狙われてるから」

「…え?」

「ある人物からの依頼で君を護衛するよう言われてるんだ。君、情報屋だろ。命狙われてもおかしくないよ」


さっきから驚きの連続で頭が思考停止してしまったようだ。彼女が言ってることが理解できない。


「君、普段はファミリーや悪どい経営者とかが顧客だろう。でも今回はいけないところに片足突っ込んじゃったね」


落ち着け落ち着け


「私の護衛を依頼した人にもいけないところとやらにも心当たりないです」


「依頼はね、ヒソカだよ」

「…」


そういえば先日ヒソカ君の依頼にかなり手こずったのは覚えてる。ヒソカ君は私が裏側には極力足を突っ込まないようにしているのを知っているが「どうしても」ということで報酬を倍要求して情報をかき集めた。

そして今命を狙われ、ヒソカ君の依頼で護衛の人に拉致されている。

これってもしやヒソカ君がわざと私に無理な依頼をしたんじゃないのかな。


「ヒソカが君は念も使えるからこちらに戻るべきだって言ってたよ」

数年前にそういう世界から足を洗ったときヒソカ君にもったいないって何度も言われたっけ。


「…あーあ。しばらく普通に暮らせなさそう。ところでお姉さんは依頼人のことなんて教えていいの?」

「うん。その依頼人が言えって言ったから」

「…」

ヒソカ君確信犯すぎる。もう口聞かないんだから。



「あと俺、男だから。ていうか俺のこと覚えてない?」

「…男!?え?」

「昔、会ったことあるよ」

こんな真っ黒な瞳、会ったら忘れないだろうに。
駄目だ、思い出せない。

「ごめんなさい、覚えてない」

「そう。これから数日はずっと一緒だし、その間に思い出してよ」

ちゅ、とおでこにキスされた。
こんなこと前にもあったかもしれない。



「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -