続
「なまえさんおはよ」
寝起きのイケメン。悪くない。
「ありがとうございます」
ちゅ、と軽く頬にキスされる。
本当ににどういうつもりなんだ。
「そんなに睨まないでよ」
「疑いの目です」
「普通一晩寝たらみんな恋人気取りなのにやっぱり変わってるね」
「だって胡散臭いもの」
わざとらしく唇を尖らせて拗ねたような顔をしてくる。
くそ、可愛いなんて思わないぞ!
「真波さんこそ恋人気取りをして試すような真似止めてください」
「えーなまえさんだって試してるじゃん」
う、ちょっと痛いところを突かれた。
昨夜、私だって反応を試すような態度を取ったのは事実だ。逆にこんなに分かりやすく試してくる真波さんの方が健全そうに見える気もする。
「あ、またそんな顔してる」
また、とは定食屋で言われた心在らずという表情のことだろうか。
「俺、気になってる女の子に意識されないとプライドがすごく傷つくんだよー」
「嘘ばっかり」
そう言って布団から抜け出る。
「やっぱり。そう言って俺を試してる」
腕を勢い良く引かれてまた布団に戻される。
ギシ、とベッドが軋む音がすると思ったら昨晩のように押し倒されていた。
「俺が自信を持たせてあげようか?」
「…その言い方が嫌」
「素直じゃなーい」
ほら、退いた退いた。
まだ時間に余裕はあるけど仕事に行く支度をしなきゃ。
「真波さんもトースト食べますか?」
「いいの?食べる!」
やっぱり顔がめちゃくちゃ良い。