ありがたやイケメン
※派生元のお話を読んで頂くと出会いのきっかけがわかります。
その日は友人の協力により久しぶりに筋肉隆々の同僚達ではなく爽やかなイケメンと二軒目まで行くという有り難い出会いがあった。
「どうします?なまえさんは俺と連絡先交換したいですか?それとも今日だけのお付き合いにしときますか」
別れ際にその顔の良さで何という愚問。
「もちろん教えて下さい!」
「わ、おっきい声出ましたね」
楽しそうに笑うイケメンこと真波さん。
ありがたや。
「なんで手合わせてるの?」
「イケメンを拝まなくては」
「なまえさん結構酔ってますね、ちゃんと帰って下さいね」
「今日はお付き合い頂いてありがとうございました」
「いや、こちらこそ東堂さんの彼女さんとの飲みだったのにすみません」
申し訳なさそうにそう言ってくれているが、こちらとしてはとても楽しく過ごさせて貰ったからなんともない。
むしろ職場での愚痴や趣味やらたくさん話を聞いてもらった。
「いえいえお釣りが返ってくるほどの事がありましたので、お気になさらず」
「なまえさん面白いなぁ」
社会人になると本当に出会いなんてなくて仕事以外の生き甲斐を持てない自分が嫌になってしまう。
厳密に言うと出会いはある。
ただそれがプロテイン漬けの筋肉隆々でやたらとポジティブな歯の真っ白い男性ばかりなのだ。
それもそのはず、とにかく体を動かすのが好きな私がフィットネスクラブでインストラクターとして働いているからだ。
「ねえ、時間が合ったらまたこうしてお酒飲みませんか?」
「よよよ喜んで!!!」
願ってもない申し出が嬉しすぎる。
別に付き合うとか高望みはしないから癒しを頂きたい。それもなんか図々しいけど。
「なまえさんって見た目が凄くクールだからギャップが面白いです」
「こんな私でも真波さんに面白がって頂けて何よりです」
「あ、拝むのやめて下さいって」
まだ笑ってくれる内にやめとこう。
その内引かれてしまう。
心のなかで合掌。
「俺◯◯線だからここでお別れですね」
「ありがとうございました、お気をつけて」
「なまえさんこそ酔ってるから気をつけて下さい。何かあったら東堂さんの彼女さんに怒られちゃうんで」
爽やかに手を振って行ってしまった。
とりあえず友人に感謝感激のメッセージを送らねば。