「籠ありがとうね」

「うん」

すごい可愛い男の子。
持ってきてくれた籠には少しだけ薬草が残っていた。あとで塗り薬を作ろう。全身が痛い。

「山神様って東の入り口に祀ってある神様のこと?」

「そうだよ、でも本当に祀られてるのは村の南の鳥居のずっと奥」

なんてこった。たぶんさっきまで寝てた所だ。
村の掟の秘密を知ってしまった。
南からの出入りは禁ず。
でも何故なのかはわからない。

「この村の人って山神様のことなーんにも知らないよね」

「君は知ってるの?」

「産まれて50年、ずっと山神様に仕えてるから」

ごじゅ!?
すると男の子はまたね、と言って背中に羽を生やして飛んで消えてしまった。

天狗だったのか、、

この村を囲んでいる山に天狗がいたなんて、そして最近は珍しい狼までいる。
何よりも神様が南側に祀られていたなんて。
村の大人はそんなこと教えてくれなかった。

なんで今になって知ってしまったのか、
独り身の寂しさで頭が可笑しくなったと思われるだけだし誰に言うこともないけど
死んでしまった夫にはそっと伝えたいと思った。







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