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「俺はこの家の子どもが七つを超えて次の子どもが産まれるまで呪いを跳ね返すためにいる」
だから寿一さんが私と結婚してその間に子どもが出来れば呪いは子どもに移り荒北さんの加護も同じように子どもに移る。
「福チャンは不思議な子どもだった…。皆俺を拝んで家の繁栄を願っていて事実俺はそのために存在しているし何の疑問もなかった」
夢で見た幼い寿一さんと狼が遊んでいる光景が思い出される。
「でもヨ、俺も家族だって言ったんだよ」
なのに、俺の加護を振り切って、
ああ、寿一さん。
私がこの狼に感じていた親近感は寂しさだったのかもしれない。天涯孤独な私を妻にし数日間だけど人の温もりを感じさせてくれた。
そしてまた独り。だけど今はこの狼がいる。
この狼と、
「荒北さん、あの、、」
「なんだよ」
「…やっぱり何でもないです」
全てが終わったら伝えよう。
「フーン、でお前が聞きたいのはそれだけじゃないだろ」
そうだ。
まずなぜ福富家が呪いをうけることになったのか。
寿一さんが亡くなってなにがうまくいくのか、、
「そもそも呪いってのは巻島が福富家にかけたやつで、これがスゲー強烈ナノ」
「…え、」
まさかここで巻島さんの名前が出てくるなんて。
山神様のお話だと数百年前にある獣が福富家を呪ったと。
「巻島さんも獣なんですか、」
「そりゃ、俺が生まれる前、その更に大昔からこの山にいた大蜘蛛らしいからナァ」
なんてことだ。
「そンで、その大蜘蛛と一緒にこの山を守ってた鹿がいた。俺が巻島について言えるのはここまでだ」
あとは直接聴くんだナ、
そう聞こえた瞬間、祭壇に置かれた荒北さんのご本尊が粉々に破裂した。
は、何が起きたの、
「久しぶりだなぁ名前」
「…巻島さん、どうして」
振り返ると巻島さんと寿一さんのお父さんがいた。
そして
荒北さんの姿がなくなった。