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「どうして貴方がここに」
お葬式ぶりの寿一さんのお母さんだ。
なんと説明したらいいのか。
「蜘蛛がこいつに目をつけてる、だから一時保護した」
それだけだ、と言って私の前に立つ狼の荒北さん。
しっぽがかわいい。
「蜘蛛って、そんな」
「向こうも易々とは動かない、今は気にするな」
私にはまだまだ知らないことだらけだ。
何の話をしているのか全くわからないし、寿一さんのお母さんが何故ここにいるのだろう。
表情が曇ったままお母さんは荒北さんに頭を下げて何処かへ行ってしまった。
一瞬こちらにくれた視線で心配されているのがわかる。
「福富家の人間に会っちまったし、説明せざるおえねーな」
舌打ちしながら振り返った荒北さん、いつの間にか人間の姿になっていた。
しっぽ触りたかった。
「今はキャパオーバなので、明日にでもゆっくりお願いします、、」
流石にここ最近色々なことがありすぎた。
主に狼と山神様だけど。
なんというか寿一さんのお母さんにここで会ってしまって予想以上にややこしい問題に片足突っ込んでしまっている気がしてきた。
荒北さんはまた舌打ちしてる。ひどい。
「そんな顔すんな、考えるだけ無駄だ」
「荒北さん、ひどい」
「ハァ?」
山神様の盛大な笑い声が聞こえた。