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「東堂さんの彼女さんがいましたよー」
戻ってきた真波先生がなんと偶然にも同じ店内にいたらしい東堂先生の彼女とその友達を連れてきた。
これは真波先生、彼女に酔っ払いを押し付けるつもりだ。
下を向いていた東堂先生はバッと顔を上げてまた真波先生に文句を言い出したので流石に靖友さんが頭を叩いている。
その後全員の意図を汲んだ彼女がまだ騒がしい東堂先生を引っ張って持って帰ってくれた。
一見、小柄で可愛らしい様子の彼女だけどこれは東堂先生の方が甘える関係だな、と想像してしまう。
取り残された彼女の友人は真波先生と良い感じに話しているし、今日はもうお開きとなった。
もちろん真波先生たち二人は二軒目へ向かって行った。
みんな楽しそうで良い。
電車の乗り換えで福富さんや隼人さんとも別れたところで然も当たり前のように指先を絡めて手を握られる。
「靖友さんが心配することなんて何もないですよ」
「ウン」
今日は少し落ち込ませてしまったのでたくさん愛情表現をしたい。
「男は所詮自信がなくて、それを隠すのに精一杯なんだよなァ」
「私のこともですか?」
「犬山とかはどうでもよかったけど新開はなんか名前の好みではありそうでヤダ」
なるほど。
それはちょっと否定できないかも。
でも
「私、元カレとかに全然執着とか持てないので安心して下さい。過去の私はあげられないけどもし隼人さんより前に靖友さんに会ってたらきっと今と同じ気持ちになってるし」
「フーン」
そっぽ向いてるけど上機嫌なのはわかる。
かわいい。
「ふふ」
「笑われるとまた落ち込むからな、家着いたら覚えてろよ」
「挑むところです。自信満々にしてあげますから」
「言うねェ」