飲み会1
「東堂、彼女できたってヨ」
なんと、あの東堂先生に彼女が出来た。
素直に心の底から嬉しい。
「しかも福チャンの後輩」
「ああ」
そういえば以前東堂先生に付きまとわれている所を保護したことがあった。
記憶が曖昧だけど小柄で可愛らしい子だった気がする。
「盛大にお祝いしてあげたい気分」
「でもウルサイか照れてウザいかのどっちかでダルそー」
確かに。
靖友さんの言う姿が容易に想像できて本人には申し訳ないが笑ってしまった。
「でも同じ部活だった真波先生もうちの病院に来たばっかりだしせっかくだから皆さんで飲みに行くのはどうでしょう」
「福ちゃんと名前も行くなら行く」
「もちろん行きます」
靖友さんが意外にも幹事を引き受けてくれたのでお願いした。
しかし当日、東堂先生が予想以上の煩さで靖友さんと顔を見合わせてウンザリしてしまった。
なんでも真波先生と彼女が話していたのが気に食わないらしくお酒をひたすら仰ぎ、ずっと真波先生につっかかっている。
たちの悪い酔っ払いが出来上がってしまった。
「こいつマジでどうするゥ?」
「いやあ、なんか僕のせいですみません」
と呆れた靖友さんに申し訳なさそうに謝る真波先生。
今日は彼の歓迎会でもあるのだ。
「だいたい!貴様は顔がちょっと良いからってヘラヘラ喋りかけるのをヤメロ!」
大の大人がなんとレベルの低い嫉妬を。
見ていられなくなり一言言ってしまったのがいけなかった。
「東堂先生そんなに自信ないんですか」
フリーズした東堂先生。
靖友さんに肩に手を置かれて「あ、刺さってしまった」と気付く。
「ヒュ〜やっぱり名前は最高だな」
「新開、オメェは名前に話しかけんな」
おっとここにも嫉妬の権化が現れた。
「荒北先生も自信がないんですか」
二人っきりだとあんなにベタベタイチャイチャしあっているのに。
「名字さん、東堂も荒北も黙ってしまったぞ」
意外と状況を見ている福富さんに少し諌められてしまった。
まったく、ナイーブな人たちだ。
「あ」
呆れてなのか興味がないのか店内を眺めていた真波先生は何かに気付いて座敷から出て行ってしまった。
さて、この空気をどうしたらいいのか。
続