隼人さんという彼氏
※過去
看護大学2年生
「なんか校門にイケメンがいるらしいよ」
私がノートをまとめている横でSNSに夢中な友達がそう言った。興味も無かったので聞き流していると携帯が震えた。ラインだ。
しんかいはやと
早めに着いたから校門で待ってる(*´ω`*)
「私そろそろ帰るね」
「え、私も!ていうかどっか寄ってこうよー」
「ごめん、約束あるの」
今日はずっと行きたかった猫カフェに連れて行ってもらうのだ。
校門に近付けば女子にかこまれる隼人さんを見つけた。なんというか、こんな漫画みたいなことって実現するんだね。ちょっと声かけにくいな。
「うわ、ほんとにイケメンじゃん!」
友達が言った通り隼人さんはザ・イケメンだ。
名前太郎
はやとさん発見した
ラインを送ればすぐに既読がついた。ずっとトーク画面を開いていたのか。
「名前!」
なんて爽やかなんだろう。イケメンってすごい。
こちらに気付いたらしく片手をあげて歩いてくる。
隣で友達は開いた口が塞がらないとやらで私と隼人さんを交互に見ている。
「猫カフェ!」
「ああ、楽しみだな」
「え、え?名前の彼氏?」
「うん」
「…はああ、ほんと隅におけないわね!!」
「いやあ、しかしびっくりした」
「看護大学だからね、ほぼ女子大状態よ。飢えた女の巣窟の前にイケメンがいればそりゃ餌食になる」
「イケメンって俺のこと?嬉しいなあ」
ひざに乗った黒猫を撫でながら隼人さんを見る。
カップに口をつけてカフェオレを飲む、そんな動作も魅せてくれるんだこの人は。
その魅惑的な唇のせいかもしれない。
上唇に付いたカフェオレの泡を舐めたいだなんて。