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顎のラインから落ちる汗をボーっ見ていると大丈夫かと顔を覗き込まれる。

「名字ちゃん、普段こんなクソ暑い日中に外なんかいねェだろ。熱中症には気を付けとけヨ」

「大丈夫です。靖友さん、お疲れ様でした」

「…どォだった?」

正直意外だった。病院での荒北先生といえばダルそうに背中を丸めて歩き、必要最低限の仕事を最短時間でこなしているような何かにかじり付くだとか頓着するような人には見えない。そんな荒北先生が炎天下で必死に自転車を漕いでいるなんて誰が想像出来ただろうか。

「いつもと全然違いますね」

「あ?」

「あんなに夢中になってかじり付いてる靖友さんは初めて見たかも…」

「俺、名字ちゃんにはかじり付いてるはずだけどォ」

確かに。
最近改めて思うけどこの人なんでこんなに私のこと好きなんだろう。

「靖友さんって結構私のこと好きですよね」

「はァ?今更なに言ってんだァ」

「だって嬉しくて」

「名字ちゃん今夜うちに来なさい。いいですネ」

「はい、先生」


その後荒北先生は一緒に走っていた福富さん達に呼ばれ行ってしまった。
達成感溢れる彼らの後ろ姿は普段の生活から脱している。そりゃあやめられるわけがない。





「ちょっと日焼けしてんじゃねェか」

荒北先生の愛撫は凄く興奮する。先生に脇腹を撫でられただけでたまらないのに、全身を舐められ吸われ噛みつかれ、息があがる。

「イっちゃった?」

人の悪そうな笑みを浮かべる先生の顎のラインから汗がつたって今にも落ちそうだ。
思わず上体を起こしてそれを舐めとる。しょっぱい。

「やすともさん、はやく」

舌打ちが聞こえた。

私も大概この人が好きだ。


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