鬼の襲来
当直上がり、もう朝日が昇ってる時間。
借りてるアパートの部屋を開けると男が玄関で倒れていた。
「あれ、部屋間違えた?」
そんなはずはない。持っている鍵で開けたんだ。
じゃあこの男は一体何者なんだ。
恐る恐る顔を覗くと
「はやとさん?」
学生時代の年上の元カレだった。そういえば合鍵渡しっぱなしだったかも。
しかし今は起こすのも面倒なほど眠い。
ということで放置して布団に入った。
「名前」
随分懐かしい声に目を覚ます。
ああ、隼人さんか。
「黙って押し掛けちまってすまねえが、暫く泊めてくれ」
何言ってんだこの人。
まだ夢の中なのかな。
「こら寝ようとすんな」
「…なんでいんの?」
かくかく然々。
隼人さんはペット禁止のマンションで捨て犬を飼ってそれがバレて追い出されたらしい。
今その犬は隼人さんの実家で暮らしてるとか。
「私、寝に帰ってるようなもんだから隼人さんの分のご飯作ってあげたり洗濯してあげたりする暇ないけどいい?」
「もちろん食事は外ですませてくるし洗濯は
勝手にやるさ。俺も病院があるし寝床だけあればいい」
隼人さんは動物病院に勤めている獣医だ。
「じゃあいいよ」
「ありがとよ!」
イケメンめ、眩しいぜ。