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1週間ほど経っただろうか。
連絡先を交換したはいいが当直だったり緊急オペだったりでなかなか予定が合わず荒北先生の家にはまだ行けていない。
医療の現場なのだ。それが当たり前のことでこうもオアズケをくらえば熱は冷めつつあるはずなのに、
「なんか荒北先生見かけるだけでムラっとするんですよね」
「へえ…」
ひきつった顔の先輩である。
「これって恋ですかね」
「違うとは言い切れないけど。そんな体本位な恋愛観で心配だわ」
「本能に忠実と言って下さい。」
「好きだからムラムラするのではなく、ムラムラするから好きか。遊び人が言ってたら鼻で笑っちゃうけどあの名前ちゃんがそう思うなら説得力あるわ」
「そう、この私がこんなに惹かれてるんですから
ね。自分でも不思議なんですけど理由を探さなくても体が反応するんだから納得するしかないんですよ」
「名前ちゃんがもうちょっと女の子らしく恋愛相談してくれればあたしも喜んで応援するんだけどね。なによムラっとするって。せっかくの恋だっていうのにだから枯れてるって言われるのよ!」
まあ恋ということでいいだろう。
「でもそんな急に恋だなんて泊まったときに何があったのよ」
そうだ、確か
「なんか匂いみたいなのに吸い寄せられて…」
「…名前ちゃん専用のマタタビでも持ってるんじゃない」