この僕に話してごらん!
つらい。
つらいつらい。もう嫌だ。
何をやっても裏目にでる!
失敗する!
怒られる!
迷惑かける!
「…うっ、…ぐすっ…ぅ…」
私は一人、誰もいない図書室の端っこで泣いていた。
今は夜の12時すぎ。
もう図書室に来る人なんていない。だから私は体育座りで泣いていた。仕事で重大なミスをしたのだ。それでたくさんの人に迷惑がかかった。
「…っ…わたし、…うっ…もう、消えたい…っ」
もう嫌だ、何もかもが嫌だ。
なにやってんだろ私。
見送ってくれた田舎の皆、世界は広いよ…。田舎ではうまくやっていけた私なのに、ここでの私はミジンコ以下だよ。何もできない、ただの役立たずだよ。
「…っ…ぐすっ、…田舎…に、帰ろ…かな…。」
ここにいたら皆さんの迷惑になるだけだ。私、使えないやつだもん。
「…その判断はまだ早いんじゃない?」
え…
ふと、誰もいないはずの図書室に男の人の声が聞こえて、私は顔を上げた。
涙と(もう少しで垂れそうな)鼻水で人様に向けれるような顔じゃなかったけど、その声には聞き覚えがあったから私は顔を上げた。
そこにはマグカップを持った、長身の、男の人が…
ごめん、早い話、
コムイ室長がいた。
「こ、…むい、室長……。」
「はい、コムイ室長です。」
コムイ室長はそう言って私の隣に座った。
「仕事、辞めちゃうの?」
そう言ったコムイ室長の声に一旦止まっていた涙がまた溢れた。
「あれっ!!なんで泣くの!?」
僕泣くような事言ったかい!?とコムイ室長は慌ててた。
ち、ちが、
涙が、勝手に…
「ち、違うんです…!そ、その…、」
弁解したくても、涙が邪魔した。もう、本当に私駄目だな…
「ごめんね。邪魔、しちゃったね。」
一人で静かに泣こうって思ってたんだよね。
コムイ室長はそう言ってポケットからハンカチを出した。
それを私の頬に、落ちる涙をそれで拭ってくれた。
「ね、何があったんだい?僕じゃ何もできないかもしれないけど、聞くことと、相槌を打つことはできるよ。」
良かったら話してくれないかな?
とコムイ室長はマグカップを私に差し出した。
中身は、室長のコーヒーじゃなくて、室長と同じ服の色した、
ホットミルク。
それがとっても温かくて、
おまけにコムイ室長の声も温かくて、
「…し、つ、ちょ…っ…う、」
涙がさっきより流れた。
「わぁーっ!!な、泣き止んでっ!!」
「う〜…だってぇ…っ…」
室長、いい人すぎる!
こんな役立たずな下っ端Aに声をかけてくれるなんて…!!
「さ、何があったか言ってごらん。」
「そんな…!!…室長の、耳に入れるような事では…!!」
「いやいや十分聞く必要があるよ〜。」
コムイ室長はまた私の涙を拭ってくれた。
今度は違う、
室長の指で、すくうように、拭ってくれた。
「さ、一人で我慢しないで。」
この僕に話してごらん!
根拠のない安心感。
それが意味するものとは?
「室長…、いい人です…。」
「もちろん!室長だからね!」
(なんて、好きな子が泣いてたらほっとくわけないでしょ。)
[*prev] [next#]