■ 私のカノジョの下着を選びたい
名前がカノジョになって、一つだけ不満があるわ。
「な…なに………?」
「下着、最近一緒に買いに行ってないわ。」
「い、い、いい、いやだよ…!もう!」
「どうして?」
名前が私にカノジョになって名前は私と下着を買いに行かなくなった。前まではあんなに一緒に行ってこれがいいとかあれが可愛いとかアドバイスとか色々してあげたのに!
「だ、だって、私達、あ、あの、つ、付き合って…るんだよね…?」
何故か最後らへんを自信なく言う名前に、何言ってるの、と腰に手をあてる。付き合ってるに決まってるでしょ。名前は私のカノジョでしょ?ハグも手を繋ぐのも恋人になる前にクリアしてるし、キスも毎日してるし、セックスだってした。なのにどうして今更自信なく言うのかしら。私が半端な気持ちで名前に接してると思ってるの?と唇を尖らせば、名前は「ご、ごめん玲央姉…」と獣耳が生えてるならしょんぼりとそれを垂らした。
「買い物、一緒に行きましょ!」
「う、うん…、で、でもこの間行ったばかりだよ…?」
「下着見に行ってないじゃない。」
「も、もう下着はいいよぉっ」
もしかして、恥ずかしいのかしら。そういう関係になったから。
何を今更……とか思っちゃうけど、そういう風に考えちゃう名前が私は好きなのよね。ああもういじらしいわ。
「馬鹿ね、前までずっと一緒に見に行ってたじゃない。」
「う、うん……。」
「今更よ、今更。」
「う、うん……?」
恥ずかしがる名前を前に、私がどうしても名前と下着を買いに行きたいのにはワケがある。何故なら、以前まで名前と下着屋に行って見ていたのはあきらかに元彼の趣味に合わせたチョイスだったから。黒とか赤とか、そういう系の。でも今名前とお付き合いをしているのは私。もちろんアドバイスもしたし、その中ならこれが名前に似合うと思うわ、って選んだりしてあげたのも私だけど、正直その下着を脱がせる私の身にもなって欲しい。もう名前は私のものになったのに、なんか手に入った感が薄れるわ。というか台無し。それに元彼と私の趣味は正反対なのよ!だいたい名前にはもっとふわふわした色のものとか可愛い系の下着を着せたいと思っていたの!セクシー系ももちろん私の名前は似合うわ!だけど!だけど、よ!!
名前を『私色』にしたいの!
私の名前にしたいの!
「…なんだったらプレゼントしたいのだけど。」
「な、なんかそれはもっとイヤ!」
「どういう意味よ!」
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