45

壊れた世界でリナリーは目を覚ました。


「ナマエ…?」


ここはどこ?


「兄さん?」


インクを零したような黒い海


「みんな…?」


見覚えのある何かの残骸


ここはどこの世界!?





ひとり、





『お前ら今どこにいる?』


「デケェ変な塔から東に3キロくらい?」


『私は西5キロといったところだろう。』




命の灯火が消える。




「じゃあオイラと神田でマリのおっさんとこ集合ってことで。」


『時間は?』


『夜明けまでだ。』


「オッケー」



陽がのぼる。

まるで蝋燭の明かりなどいらないと言うように。


陽は奪う。

灯火の明かりを奪う。




眩しい朝日に黒光りする蝙蝠は結局壊れることはなかった。

しかしその前に、主人の方が壊れてしまった。



「デイシャのゴーレムだ…………。」



たくさんの光りが消えていく。




「ティエドール部隊デイシャ・バリー」


「ソカロ部隊カザーナ・リド、チャーカー・ラボン
クラウド部隊ティナ・スパーク、グエン・フレール、ソル・ガレン」


「以上6名のエクソシストが死亡。

探索部隊を含め合計148名の死亡を確認しました。」



バースディケーキの蝋燭を吹き消すかのように消えていく命。


蝋燭は消えたくないと叫ぶことができない。





「デイシャ・バリー、カザーナ・リド、チャーカー・ラボン」




吹き消す息の方が強いのだ。



「あちゃー、どれもリストに載ってないや。」




消えていく仲間の火を守ることもできない。




「お前は、」




自分の火も守ることもできない。




「何て名前?」








失った代価は重くて、


手に入れたものは砂粒のように小さい。




「…ナマエちゃん。」


「ミランダさん…、」


「泣いているの…?」



燻っている光りはどこまでいけるだろう。



「…泣いてないよ。」







この光りはどこまで照らせて、






「みんなに、お帰りって言ってたんだよ。」






どこまで燃え続けられるだろう。







燃え続けられるまで、燃えてみようではないか。








−45開演編終−


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