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「あー、まずいなぁ。」


砂嵐のような音をたてた自分のゴーレムを見上げたデイシャが言った。


「どうした。」


隣を歩く神田が急に足を止めたデイシャに言い、マリが口を開く。


「デイシャのゴーレム、相当きているな。」


先程からノイズの乱れが聞こえてくる。と言ったマリに神田が首を傾げた。


「ナマエが直したじゃねぇか。」

「応急処置、って言ってたじゃん。ついにがたが来たって事か。」

「新しいゴーレムが来るまで持ちこたえてくれるといいな。」


そうじゃなきゃ困る。とデイシャはゴーレムを見上げた。飛びはするのだが無線機の方が駄目そうだ。これでは何かあった時の連絡手段がとれなくなってしまう。それだけは避けたい。それに新しいゴーレムはこのゴーレムの電波数を辿って来るだろう。壊れしまったらこのゴーレムも新しいゴーレムもおじゃんだ。


「デイシャのゴーレムに何かあったら私か神田のゴーレムを辿って来るだろう、大丈夫だ。」


というマリの言葉を頷いたデイシャだったが目の前に現れた"モノ"に重く深い溜め息を吐いた。


「でもその前にオレら離れ離れになったら意味ないじゃん?」


機械音と奇怪なボディ。歪な形をした兵器達。


「デイシャのゴーレムが壊れる前に倒せばいい話だろ。」


ちゃきり、と自分の愛刀を構えた青年にデイシャは笑った。


「ま、確かに。だけどさすがにこんだけの量壊すのしんどくない?」


次はマリの弦が鳴った。


「三手に別れるか。」

「それ賛成。」


何体いるかわからないほどの禍々しい気配と山のようこちらを見下ろす殺戮兵器、アクマ。


「オレのゴーレムが壊れる前に連絡取り合おうじゃん。」


にやりとデイシャは口を歪め、自分のイノセンスに手をかけた。


「さてと、神田がナマエ禁断症状になる前に元帥見つけてとっと帰ろうじゃん。」

「デイシャ、今死ぬのと後で死ぬか選択肢やるよ。」

「へへっ、どっちも勘弁!」


とデイシャは発動したイノセンスを蹴り上げ、それを合図にしたかのように三人は散った。








それが最後に見たデイシャの笑顔だった。


−44終−


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