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『三人は引き続き任務続行。ラビは明日のドイツ行きの便で僕と合流、護衛。ナマエは明日そっちに到着のエクソシストを護衛、イノセンスと一緒に本部まで届ける事。』


そうコムイから指令をもらって何日がたっただろうか。


「ゲヘヘヘヘヘ!!無理だ無理だ!」


耳障りな声を発する、先程までアクマだったものは壊れかけたボディを微かに震わし、おかしくて仕方がないといった感じで笑った。


「元帥共は助からねェ!!ノアとアクマが大軍で奴らを追いかけてるんだぜ!お前らがこうしてオレを壊している内にも…」


ドン、と耳障りな声を発していた口目掛けて神田は六幻を突き刺し、既に六幻によって切り刻まれていたアクマは小さな爆発を起こして破壊された。


「うるせェ。」


神田はもう意識のないアクマに呟くように、吐き捨てるように言った。美しい日本刀の形をした六幻を鞘におさめると階段上からマリに声を掛けられる。


「行くぞ神田。」


階段上には自分の荷物を持ってくれているマリと、退屈そうに唇を突き出しているデイシャがいる。破壊したアクマに振り返ることもなく神田は二人の元へと行き、マリから荷物を受け取った。先程のアクマによって歩を止められていた三人は再び歩き出し、デイシャが愚痴っぽく零す。


「まったくジャマじゃん。次から次へと襲ってきやがってちっとも進めやしない。」

「オレ達を足留めしてェんだろ。」


神田は鞄を片手に、背中に引っ掛けるようにして持ち、そんな事にはあまり興味のないように返し、マリは溜息混じりにそうだな、とアクマの残骸をうざったそうに見るデイシャに返した。


「元帥に辿り着くだけでも一苦労だな。」


すると苛立ちをこめた神田の舌打ちが聞こえ、盲目の彼でさえ神田のイライラとしている様子が手に取るようにわかり、小さく振り向いた。


「なんだ?イライラしてるのか神田。」

「してねェよ!」

「ナマエ不足か?早いな。」

「もっと違ェよ!」


犬歯を剥き出して吠える神田に「そうか、ナマエももう教団に戻ったころだな。」と話を続けるあたりさすが兄弟子というかなんというか。デイシャは今にもマリに噛み付きそうな神田をおさめるようにわざとらしく声を上げて話の話題を変える。


「しっかし、いつになったら辿り着くのかねェ。オレ達の捜すティエドール元帥はもうこの街にゃいねェみたいじゃん。」


そう言えば目的を思い出したのか、神田は舌打ちをして犬歯をしまった。その様子にデイシャは心の中でホッと息をつき、マリはそんな神田を微笑ましく見ていた。


「まったく、足が早いっつーか、鉄砲玉っつーか。」


溜息混じりにデイシャが我らが師である元帥をそう言い、マリが続ける。


「どうせどこかで絵でも描いているんだろう。」

「まったくオレらも変な師を持っちまったなあ、神田。」


ありがち間違いではないであろうマリの言葉にデイシャが笑い、共感を求め神田へと振り向いたが、神田は眉間に皺を寄せ心底嫌そうに顔を歪めた。


「俺はあのオヤジが大っ嫌いだ。」


ぼそっと呟いた神田の言葉に二人は、は…と彼が元帥を苦手としていた事を思い出した。


(だから機嫌悪いんだぁ)
(だから機嫌悪いんだぁ)

「ま…クロス元帥よりはマシじゃん…。」


とデイシャは教団である意味一番最悪であろう元帥の名を上げて不機嫌を通り越した神田を宥めた。そしてこの元帥を捜す旅にナマエが参加していたらこの機嫌の悪さは少し緩和されたかもしれない、なんて小さく思った。



−43終−


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