へいちょとようじょ(8/15)

「で、どうだった?ハンジ。」


エルヴィンは、窓の外を眺めながら後ろのハンジに言った。外では、ミケがユリアに肩車をしてみせ、ユリアはその高さに怖がりもせず目をきらきらとさせていた。楽しさよりもその視線の高さに興奮しているようだ。その横でリヴァイは腕を組みつつ、「あまり興奮させるな」としっかりと監督している。


「ユリアの服ね、手触りのいい服で、見た事のない柄ばかりだった。けど今履いてる靴と模様が一緒だから、きっと何か意味のある刺繍なんだと思うよ。」

「どうみる?」

「…難しいね。誰かを狙ってきた、というわりには子供すぎるっていうか、逆に返り討ちにあいそうなくらい。」

「そうだな。」

「言葉遣いや食事の所作はちゃんと教育されたものだし、学も少しありそうな感じで、どっかお金持ちの娘かと思ったんだけど、なんかそういう感じでもない。あと、行方不明っていう情報もこちらには入っていない。」

「となると、本格的に壁外からやってきたとしか言いようが無いな。」

「今のところはね。」


出現方法は未だ謎だけど、とハンジは同じく窓の外を眺めた。
今のところ、ユリアは突然現れた壁外からの不思議な女の子、としか言いようが無かった。着替えだと言ってユリアの服を入手したは良いが、それは見た事も触った事もない良い生地で作られたものだった。それこそ、王が召すような、さらりともつるりとも言えるような手触り。
法衣に施された模様は蔓を綺麗に交差させたような柄で、その蔓にそってつい指を滑らせたくなる。頭に乗せていたアーチ型の髪飾りは淑女のするヘッドドレスとは言い難く、白と金色で統一され、何処か神聖さを感じさせる。


「上にはどういったご説明を?」

「まだ行かなくていいだろう。」

「大丈夫なの?」

「言い訳はいくらでもきくだろう。」


などと言って、本当は壁外の情報を独り占めしたいだけのクセに。とハンジは薄笑いを浮かべるエルヴィンに頬を引き攣らせた。


(怖いお人…。)

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