5.5


……思ったんだけど、ユーリがこちらに来てしまったということは、『テイルズオブヴェスペリア』というゲームはどうなってしまったのだろうか。主人公不在だぞ。
なんだか不安になってゲームソフトを並べている棚の前に立ち、ヴェスペリアのタイトルを探す。そして、やっぱり。


「……ない。」


ここにあったはずのソフトがそっくりそのまま無くなっている。しかもご丁寧にそこ一本だけ抜き取りました、みたいに。
ここに大事な何かがあったはずなのに思い出せない…、となるのは鉄板。だがしかししっかりがっちりここに何があったのか思い出せる私は小さく舌打ちした。


「……私のクリアデータ。」


これじゃ、ゲーム機本体の方もそっくりそのままデータが消えているんだろうね。……くそっ。何もかも無かったことにされてんのか。
それはユーリがここに居る限り良かったような良くなかったような。
はぁ、と肩を落として私はそこにあったはずのテイルズオブヴェスペリアのスペースを横にずらした。


「……ん、待てよ。」


確かにあったスペースを詰めて私はあることに気付く。
ユーリがこちらに来てテイルズオブヴェスペリアは無かったことにされた。そうしたら、ユーリを演じる声優さんはどうなっ………………………


「い、」


いやいやいやいやいやいやいや。
やめよう。怖いから考えるのよそう。
うん。それがいい。


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