アルミン団長
右足をぐっと押されると、曲がる膝と一緒にアルミンとの距離が縮まる。呼吸が、息がすぐそこで感じられるくらい。暗い、視界いっぱいにアルミンがいて、大きな体が目の前にあるのに、金色の髪と蒼色の瞳で、眩しく感じる。
「ぁっ…、アル…、アルミン…」
「ん?どうしたの?名前。」
そう耳元で囁くように言ったアルミンは、柔らかく私の耳朶を食む。すでにひくついてしまうまで彼にほぐされたそこは、アルミンだけを、アルミンのを求めていて、私は、私は気がおかしくなりそうだった。
だって彼の指が何度私を限界まで持ち上げてはそこで止まってしまう。あと少し、あと一息くらいなのに。まるでそのタイミングをわかりきったかのように指を抜いてしまう。そしてその時のアルミンの表情の楽しそうなこと楽しそうなこと。
「お、おねがいっ…アル、」
「可愛い、名前。」
うっとりと頬を撫でられるだけでも私の体はびくびくと震え、堪えきれない声が鼻から抜けた。
すぐ、すぐそこにあるのに。私の欲しいものが。でも人参を前にぶら下げて走る馬みたいに私はただ延々とアルミンに遊ばれているだけで。
「アル…!」
「ごめんね、名前。名前がイキたがってるのはわかってるんだけど、僕、君のよがってる顔がすごく好きで…まだ見ていたいんだよね。」
にっこりと微笑まれた天使の笑みが悪魔の笑みにみえた。いや、あの頃よりも成長している分魔王にも見えなくない。あの金髪の中には羊みたいなぐるぐる巻かれた角が隠されているに違いない。
それでも私は彼を求めざるを得なくて、というか、そういう体にされたというか。彼の腕にすがって、彼のそこに自分のを、はしたないと思いつつも擦り付ける。お願い、アルミン、もう私は。息と一緒に喘ぎながら蒼い瞳を見上げる。男の癖にどんな精神してんだ、と罵倒したくなるほど彼の瞳は余裕に満ちていて私の腰をしっかりと掴む。
「まだ、まだ駄目だよ名前。欲しいのならちゃんとおねだりしなくちゃ。」
「アル…!もう、わたし…っ!」
「可愛い…。焦れる名前って、すごく興奮するよ…。」
「な、ら…!」
「だからほら、言わないとあげないよ。」
一体どんな精神力してんだコイツ…!ほら、これが欲しいんだよね?と切っ先を入り口にあてがわれて、自分で腰を進めようとするもしっかりと押さえられてしまっている。
きっと彼を喜ばすだけだろうと思っても睨まざるをえない。キッと睨みあげた蒼は楽しそうに歪められていた。
「さぁ、僕の名前。とびきり可愛い声で僕を誘惑してくれるかい?」
そして私は、今日もその蒼に誘惑される。