蜘蛛の糸

運命の赤い糸。
そんなものが存在するのなら、きっと僕の糸は名前に絡んで縺れて絶対に解けないものなんだろうね。名前は糸に雁字搦めにされて糸の出口を探す。けれど僕の糸は名前の足の小指から髪一筋にも絡んでて糸口さえも見付からない。その内名前は解くのも、糸口を探すのも億劫になって疲れて、その場に座り込んで寝てしまう。
僕は、そんな疲れ切った名前を優しく抱き抱えてキスをする。僕のイメージではそんな感じなんだろうけど、きっと名前からしたら蝶を捕食する蜘蛛みたいに見えるのかな。


「あ、雲雀っ、さん…」

「駄目、逃がさないよ。」


逃げることなんてできないんだから。
くちゅりと音をたてて突きつけた、猛る僕のものから逃げようと名前の腰が後ろに下がる。でも残念。名前が腰掛けてるのは僕の椅子だね。逃げ場、何処にもないね。僕の一挙一動にびくびくと体を震わせる姿に思わず舌なめずりをして、逃げた腰を引き寄せ、ゆっくりと挿入した。
ああ、椅子の上で犯すなんて、本当に捕食してるみたいだ。


「んっ…ぁ、ぁあっ」

「そう、僕につかまって。」


ぐちゅりと、中を押し広げていくと名前は僕をもっともっとと歓迎する。そんな焦らなくても、嫌というほど僕をあげるから。急かさないで。僕は、時間をかけてキミを食べ尽くしたい。僕の首に腕を回した名前の、濃く色付いた桜色の唇から堪え切れない声が溢れる。


「ふっ、…ぁっ…んっ、…く、」

「可愛い。気持ちいいの?」

「ち、違っ…」

「嘘つき。」

「っ、やぁああっ…!」


ずくずくと、これまでにないくらいゆっくりゆっくり、いたぶる様に腰を進めたら名前が小さく唾を飲んだから、頬を染めて喉を鳴らしたから…。耳元でそう囁けば、素直じゃない言葉が返ってきて思わず奥まで突っ込んでしまった。あーあ、もっとゆっくり、名前が「雲雀さん、奥まで、ちょうだい」って喘ぐまでじっくりやってやろうと思ったのに。
ほんと、僕の加虐心を擽るのが上手いよね。


「は、…名前のナカ、すごく気持ちいい。」

「…ひ、ばり、さ…んん、」

「名前…」


きゅうきゅうと僕を絞めながら潤んだ瞳で見詰められて、僕の頭は軽く意識が飛びそうになる。まだ、まだ名前をたくさん味わってから。そう言い聞かせて名前の唇に咬み付く。


「悪い子。僕を誘惑して、そんなに早く終わらせたいの?」

「ゆ、誘惑なんて、して…ああっ」

「ねぇ、一回が早いけど回数が多いのと、回数は少ないけど一回が長いの、どっちがいい?」


これ以上進みようがないのに腰を進める僕。名前の中を抉りたい。抉って抉って、僕の轍をつけて、名前に僕を刻みたい。


「僕はどっちでもいいよ。」


さぁ、その可愛い口で『僕』を強請って…?


「ぁっ……、ひばり、さ…、雲雀さんの、すきに、して…っ、ん、ふぁああっ」

「っ、わお、最高の煽りだよ名前。」


僕の好きにしていいって?
キミはどれだけ僕を甘やかせば気が済むの?
手を離せばひらひらと好きなところへ危なっかしく飛んでいくのに、最後は必ず僕に捕まってくれる。優しい子。僕に捕まってしまって可哀想な子。でも安心して。僕の、キミを捕まえるために張り巡らされた糸はキミを絡んで離さない。
僕が捕食している内は、ずっと、足の小指から髪一筋、僕が全部、愛してあげる。


蜘蛛の糸

僕の糸は赤い。



(キミを完食したら、僕とキミは一つになる。)




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