ユーリ・ローウェル
彼の性欲はいつ何処で爆発するかわからない。そんな時間通りにも計画通りにも行かない彼の性欲を、私はただ「うんそうだね」と夜の散歩と出掛けた路地の影で黙って受け取る事しかできないのだろうか。
「ユー、リ…おねが、ほんとやめ、てっ」
「嘘吐くなって。ここはまだ触って欲しそうだぜ」
「ゆー、りぃっ…!」
路地裏にあった樽に私を腰掛け、一体何をしようとするのかと思えばこのユーリ・(エ)ローウェルはあろうことか私の下着に手を伸ばしてきたのだ。いやいやそれはないだろうユーリ君、チミは一体何がしたいんだね、と腕と足で突っぱねてみるも、腕は肩に回され、足は間に体を入れられて強制的に閉じられない格好になってしまって早数十分。ユーリの冷たい左手が私を捉えてゆっくりゆっくりと解していく。何処の誰が見ていて聞いているかもわからないこの場所でナニしようとしてんだこの人は、と無意識に上がる声を両手で「は、っ、ん、は」と抑えていれば「いいね、燃える」とか言い出す始末。
「おねが、…やめっ、てぇ…あっ!」
「ほら、声抑えなくていいのか」
まるで私をいたぶって楽しむかのようにユーリの指先は早く動いたり、ゆっくり動いたり。焦らすような緩急(しかもめちゃくちゃ狙ったようなペース)に時折強い刺激を与えるように花芯を弄る親指。本人はいたってくりくりと可愛く触っているようだが、触られている本人はくりくりどころじゃない。じりじりざらざらして頭もフォトンを喰らったようになって腰が止めてくれ!と叫んでいる。
「も、…いじめ、ない、でっ…」
「ん?もう限界?」
げ、限界!(っていうかさっきから止めろっつってんだろ!!)お願いもう触らないで、もう宿屋帰ろう?エステルとか遅くなると心配しちゃうし、と必死に首をこくこくと振ればユーリが「そうだな、」と指をつぷ、と抜いた。(あ…っ、ぅ)それからごめんな、とでも言ってくれるかのような優しいキスに私はあぁやっぱり何されてもユーリ好きだな、とちゅっちゅしていると、膝がぐっと持ち上がって私の視界がずれる。(ん?)樽で少し摺れた腰を痛む隙もなく、ユーリの楽しそうな顔が目に入った。
「頑張った褒美、やらなくちゃな」
「ちょ、まっ…!!」
ぺろり、と唇を舐めたユーリに私の体はぞわぞわぞくぞくした。そしてユーリの綺麗な顔がそこに向けられて、見えた赤い舌先に、私は今日もどろどろに溶かされるのだ。