黒猫のワルツ


名前を後ろから抱き締めるようにして、胸のボタンをひとつ外した。後ろから俺の腕が回ってきたことに名前が少し体を固くさせたのを気付きながらも、俺はもう一つ、名前のボタンを外す。リナが新しくデザインした黒のブラウスは黒猫のハーフである彼女によく似合い、よく映えた。上から下へと一つ一つボタンを外せば、肩口から白い肌が見えてきた。


「白いな。」


彼女が黒猫だからか、それともブラウスが黒だったからか、彼女の肌は雪のように白い。元々色白なせいもあるだろうが。腹の臍あたりのボタンを外し終えれば服を押し返すように胸元がふんわりと開いた。その柔らかな弾力に、名前の体に誘われていると唾を飲んだ。ブラウスを肩から脱がせると、それは滑らかな肌をすべってすとんと落ちる。それを横によけ、間もなく指先で擽るように肩口を撫でれば名前の体はますます固くなった。擽ったいのか、怖いのか、それともこの先の行為に緊張しているのか。それは小さな唇から出た、熱っぽい吐息が教えてくれた。


「気持ち、いいのか?」


そう耳元で囁けば名前の耳はぴくんと大きく立ち上がり、しかしすぐに気を無くしたかのようにふにゃっと萎えた。そして微かに震えている。へたりと張りを失った耳の先には、頬を赤く染めている名前がいた。可愛い。
この行為と好意に、彼女はどう思ってくれているのだろうか。気付いてくれているのだろうか。届いているのだろうか。


「嫌なら、拒めよ。」


そう言っても彼女は俺を拒むことをしない。わかっててそれを言うたびに、その言葉がいつしか「拒んでくれるな」という意味に変わっている気がする。滑らかな肌を指先で円を描くように触れると、名前の呼吸が熱を帯びたものになった。ゆっくりと円を広げ、胸をも触れると小さな体がぴくりと震えた。その小さな反応に満足しつつも、今度は抱き寄せるようにして胸を両の手で包んだ。名前を少し自分側に引き寄せるとバランスを崩した体が俺の胸に雪崩れてきて、こてんと頭が肩口にあたる。その一瞬だけの、微かな重みが、心地良かった。


「いい、動くな。」


すぐに起き上がろうとする名前の体を抱き締めて、名前の首裏に顔を埋めた。鈴が微かに鳴った。獣人だから、という彼女の考えが彼女の体に染みつきすぎていて少し苛立つ。俺はこんなにもお前が。という気持ちは吐き出せず、名前の首筋に噛み付いた。といっても甘噛むくらいだが。細い首に歯をたて、そこに息を吹きかけ、舌を這わせた。


「っ、」


声が出ない代わりに、呼吸が名前の声だ。熱っぽい息、少し荒い息、詰まった息、詰めた後に吐き出せれる息。俺を煽るにはそれだけで十分だった。下着の上から胸の形を確かめるように触れ、細い首と肩に何度も口付ける。名前がぴくぴくするたびに、鈴がちりんと音をたてた。


「脱がすぞ。」

「………、」


言うのが早かったか、外したのが早かったか。名前の胸を守る下着は俺の指先ではじかれた。下着はふわりと胸と一緒に持ち上がり、肩と腕から下着を滑らせば、淡く色付いた先が見えた。迷わずそこに触れると名前から甘い吐息が出て、俺の腕らへんがぞくりとした。呼吸が可愛いとか、反則だろ。いや、呼吸というか息というか息遣いというか。
その甘い息遣いがもっと聞きたくて、人さし指と中指で先端を挟みながら胸をやんわりと揉んだ。温かくて、柔らかくて、気持ちいい。指先が、甘い重みに支配されている。病みつきになってしまう柔らかさだ。手のひらで胸を下から持ち上げ、今度は親指と人差し指で軽く摘まんでやると名前の息がもっと甘くなる。くりっと転がせてやれば、もっと。


「っ、」


欲が、深くなる。さっきまではこれだけでいいと思っていたのに。こんな反応されたら、名前の声が聞きたくなる。どんな声で啼いてくれるのか。どんな声で俺の名前を呼ぶのか。欲しくなる。名前の全てがこの両手に、体に。


「気持ち良さそうだな。」


摘まんでいた人差し指でぴんと張った先端を軽く押し潰すと、小さな体が俺の腕の中でびくびくと震える。恥ずかしそうに顔を少しそらす仕草は、ひどく艶めいている。本能的に俺から逃げようとする体を再度引き寄せて、片手で胸を掴みながら腰を抱いた。柔らかい、細い、小さい、欲しい、愛らしい。
ふにゅりと名前の胸を楽しみながら、名前の頬に口付けた。

彼女の心も、この手に掴めればいいのに。(そうしたら、何度も何度も触れてあげられる)




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