D長編神田

既に達した蜜口に神田は自身を宛がった。びくんと目の前で揺れた腰はふるんと小さな尻を揺らし、くちゅりと神田と名前の間で卑猥な音をたてた。まるで肩甲骨を剥き出すかのようにベッドに顔を埋める名前の唇からは、啜り泣くような甘い声が溢れた。白く、細い腰を掴み、ゆっくりと、じっくりと、彼女の中を味わうかのように自身を埋める。


「あっ」


先が触れる。


「…あっ」


鈴口が埋まる。


「ん、んっ、」


半分まで入ると名前はシーツを手繰り寄せるようにして息を張り詰めていた。掴んだ腰でわかるように名前の体は男の自分と比べてとてつもなく細く小さい。そんな体にこれを埋めようとしているのだから、その張り詰めた声もわかる。しかし小さい体に無理矢理押し込んでいるというわけでもなく、既に解された体は神田の腰使いに合わせてゆっくりと、じっくりと、まるでそこにそれが入るべくしてあるように受け止めている。蠢く膣内は神田のそれをざわざわと受け入れ、入れる神田にも受け入れる名前にも体を戦慄かせた。神田はそれを一気に全部入れようとはせず、名前の息使いを気にしながら、ゆっくりと半身を動かす。


「ぁあっ、ん、あ、」


溢れ出た声に名前は手繰り寄せたシーツの手に歯を立てた。すぐそこまで迫っているにもかかわらず入りきらないもどかしさ、半分だとわかっていてもそれはそれで十分すぎる程の圧迫感と恐怖に近い快楽。体の芯が何処かへとふっと落ちてしまいそうな感覚に名前はシーツを掴む力を強くするのだが、白くなる程握りしめている手を、声を抑えようとしている手を、神田が黙って許すはずもなく。


「抑えるなって、言ってんだろ。」

「ん、ああっ…！！」


言葉と一緒に、ずくんと自身を全部名前に打ち込んだ。声を抑える気すら忘れさせる衝撃に近い甘い鈍痛が名前を襲う。入れただけなのに、というべきか、入ってしまったというべきか。打ち込まれたそれに先程の比ではない圧迫感と共に神田という存在がそこに埋まっている感覚が全身に伝わる。体を重ねて一つになるというがまさにそうだ。神田が名前に入り、名前の中に神田がいる。神田がそこにいるだけでなく、ここにあるという事実に脳内が苦くも甘く溶けてしまいそうだ。


「は、…ぁっ、んんっ」

「腰、動いてるぞ。」

「う、動いて、なっ、ぁ」


自身を埋め込むと名前の腰はびくびくと震え、まるで自ら腰を動かして神田を煽っているようだった。いや、好いてる女の白い肌がそこにあるだけ、ましてや薄桃に染められた体の中に自分があるだけで十分胸が締め付けられているのだが、苦しくも気持ち良さそうな声と震える腰を見ると今の現状より更に煽られているとしか思えない。神田は名前の体をすくうように両手を乳房へと伸ばし、やんわりと掴んだ。自分の指によって形を変え、まるで吸い付くような肌触りのそれに自然に指と手が動く。


「ん、んっ、ぁ」


指先でつんと立った乳首を撫でれば埋めた自分がきゅうっと締め付けられる。


（ちっ。くそ、………可愛い。）


震える吐息さえ甘い嬌声に聞こえる。よがる彼女の顔を見たいと思うが今はこの体勢で繋がっていたい。深く、奥に。覆うように、溶け合うように。


「あ、あぁっ、やだ、だめっ」


大きく動かした腰に名前は首を振った。はらはらと乱れた髪を指先で横に流してやり、そこから見えた顔に神田は動かしているそれが質量を増した気がした。赤く綺麗に色付いた頬、濡れた瞳、唇、行き場のない快楽に襲われる表情。なんて、絵だ。その表情がもっと見たくて、動かした腰は彼女を酷い優しさで嬲る。


「あっ、ああっ…！」


そして自分にも訪れる、体を、脳を、痺れさせる甘い快楽。きゅうきゅうと自分を締める彼女の中はとても温かい。そしてひどく気持ちがいい。何の例えようもない。背筋がぞくぞくする、そう、恐怖に似た快感が全身に駆け上がるのだ。思わず掴み直した細い腰に何度も何度も自身を打ち込む。刻むように、埋めるように、感じた恐怖を打ち消すように。


「ゆう、やめっ、ぁっ、こ、こわ、いっん、こわい、のっ」

「、ん？」

「お、落ちゃ、あっ、いそ、で」


嬌声混じりに紡がれる言葉に、思った以上に優しい声が出てしまい自分がどれほど彼女に甘いのかがわかる。しかしそれに気付くどころじゃない名前は激しい快感に落ちてしまいそうだと言い、神田は自身を大きく打ち付けた。


「っ！ゃああっ…！」


そしてそのままなだれ込むようにして小さな背中に顔を埋めた。再度、胸を持ち上げるようにして背中を引き寄せ、柔らかな肌に口付けた。


「落ちねぇよ。俺が掴まえといてやる。」

「ん、ぅんっ」


ぴくぴくと震える名前を抱き締め直し、二人は互いの存在を深く深く味わった。