優しく触れるだけ、なんて我慢できない。音をつけるとするなら、そうだな、ふにゅりと自分の手により形を変える名前のそれに俺は生唾を飲み込む。一瞬だけ名前が息を詰まらせ瞳が揺らす。その姿に無意識に「名前かわいい」と締まりのない顔で言ってしまいそうになる。親指でつんと愛らしく立ったものをくにくにと弄ると小さな体はベッドの上で身じろぐ。


「…っ、」


睫毛を震わす名前はとても官能的で、ただでさえ少し上気した白い肌が目の前にあるのにこれはずるいと思う。そんな顔をされたら、もっと、色んな反応が見たくて色々弄りたくなる。くにくにと親指で転がしているものはもっと触って欲しいと言わんばかりにぷっくりとその形をはっきりとさせてきて、俺の指に名前は手の甲を口に押し当てていた。


「名前」

「あっ、いや…っ」


どうやら嬌声を飲み込もうとしている手を忌々しげに払ってベッドに縫い付ける。力を間違えたらへし折れてしまいそうな手首。改めて自分の体と名前の体の対比に底知れぬ優越感と征服感にかられて変な笑みを浮かべてしまう。


「聞かせろっていつも言ってるだろ。」

「そんな、の、恥ずかしい…っ」


顔をそらした名前に待ってましたと耳を甘噛む。噛む、というより唇で挟むと言った方が正しい気がする。そんなに自分の弱点を晒して…、そこを攻めてくれと言われてるようなものだ。


「やぁぁ…っ」


仔猫みたいに首を竦めた名前の耳を追い掛けて、わざと音を出すように舌に唾液を絡ませて名前を追い込む。それをしている間も、胸の手はもちろん休んでなんかいない。むにむにと手の中で形を変える柔らかい感触はきっと何にも例えることなんてできない。例え一般的にそう例えられるものがあったとしても、名前のものは違うと断言しよう。名前のは俺だけのものだから俺しか触ったことがないのだ。そう、だから他人がこれ同じだと例えることなんて不可能になるのだ。


「みみ、やだぁっ」

「ならこっち向け。」


耳以外なら何してもいいのか、という言葉は飲み込んで。おずおずとこちらを見上げる名前にキスをする。こちらも加減を忘れたらぱくりと一口いってしまいそうな唇だ。下唇を軽く吸い上げて弾力を味わう。


「…ぁ、」


離れた唇に切なげ声を漏らした名前はそれに顔を赤くし泣きそうな目をこちらに向けていた。その顔で俺に何を求めてんだよ。フォローでもいれて欲しいのかよ。フォローいらないだろ、十分俺の脳内を、爆破させるぐらいの威力持ってんだから。


「…どうして欲しい?」


名前の唇を舌先でつんと突いてゆっくり舐める。重ならないそれに名前はむず痒そうだ。それに、とても物欲しそうな顔をしている。


「キ、キス…」

「ん?」

「キス、してほしいの…」


俺の中にある理性という理性をいっぱい掻き集めフル稼働させる。殺人的に可愛い名前を前に俺はちゃんとした顔をしているだろうか。緩みきってだらしない顔をしていないだろうか。俺は一旦自分を落ち着かせるために名前から体を離して知らずに止めていた息を吐き出す。それが溜息にでも聞こえたのか名前はすぐに「ご、ごめ…」と謝りかけたが、その前に名前の腕を引いて上半身を起こさせて胸に抱いた。柔らかくて小さな体が俺の腕の中にあってそれだけで気持ちは達してしまいそうになる。いや、既に達している感はある。可愛いのだ、名前は。


「…ん、」


腕に抱いた名前の顎を取って望み通りキスをする。唇を重ねる前に一瞬見えた蕩けそうな名前の表情に背筋がぞくりとする。なんて、顔してんだよ。キスくらいで。これだけでそんな幸せそうな顔すんな。俺がもっと、もっともっと気持ち良くさせてやる。たっぷりとキスに時間を費やすと名前はやんわりと俺の胸を押し返す。キスを自分からねだるクセに息がもたないそうだ。だろうな、俺の好きなタイミングで唇を放すわけだから。それでも名前は満たされたような顔で俺の鎖骨あたりに顔を埋めてくる。


「もっとか?」

「う、ううん…、今はこのままがいい…。」

「そうか…。」


俺はお前にもっと触れたいんだがな。もっと深いところに触れて、お前を暴いてしまいたい。その小さな口から想像できないような卑猥な言葉を叫ばせてやりたいのだが、そんなことしたら一生口を聞いてくれなさそうだ。でも誰だって思うだろう。好きな女を限界まで追い詰めて快感に惑う姿をこの目に。


「…もういいか?」

「ま、まだっ…!」


ちょっとしか経ってないよ、と尖らせた唇を指でふにふにと押せば、ぺろりと指先を舐められた。窺がうような上目にお前は俺をどうしたいんだよ、と額にキスすれば嬉しそうに笑ってる名前の声が聞こえた。その声を体ごと抱き締めて再度ベッドに押し倒す。倒れ込むようにして押し倒した俺と名前の体はぴったりとくっ付いてて、胸に名前の柔らかい胸が当たる。気持ちいい。その態勢から少しだけ体を起こして、自分の体を押し付けるようにしたまま唇を重ねた。





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