髭切

繊細な菓子を啄むような口付けを繰り返された後、審神者の体に心地良い重みがのしかかり、唇が深く重なる。慣れた手が審神者の足を撫でるようにして開き、濡れたそこに硬く熱いものが宛がわれた。
「あ……っ」
不意に男のものが柔い場所に触れ、口付けの隙間から切なげな声が漏れる。すると、その声を出させた男がくすりと笑った。
「ふふ……、可愛い」
思わず漏らした声に、目の前の男の双眸が細められる。濃く長い睫毛に囲まれた梔子色の瞳が、乱れた審神者をその瞳の奥に閉じ込め、甘く蕩けるのを見た。恥じらいに頬を染めた審神者が可愛くて仕方がないとばかりに微笑んだその表情に、胸がぎゅっと締め付けられる。象牙色の髪から汗が伝い、精悍な輪郭をなぞる。普段は虫も殺さぬような穏やかに顔をしているというのに、こうしてふたりむつみ合う時間は別人のようで困惑してしまう。
「なぁに、目をそらして」
「べ、別に……、ん……っ」
惑い、顔をそらせば、それを指摘するように首筋に顔を埋められた。汗ばんだ首筋を舌で舐め上げられ、耳の付け根を吸われる。ちゅ、と音がしたが、きっと朝になって鏡を見れば、赤い痕がついているのだろう。
「あ……、ひげ、きり……っ」
審神者を組み敷き、髭切が口付けの雨を降らす。くすぐったくも、ひとつひとつが熱を持ったそれは審神者の胸を高鳴らせる。足の付け根に硬いものが擦り付けられ、その存在の大きさに髭切の興奮が伝わり、尚更肌が火照った。
「じゃあ、ちゃんとこっちを見て」
別にと言うのなら、目を合わせろと吐息混じりの声を聞いた。熱の杭が審神者の花弁を掻き分け、中の蜜を舐めるように擦り付けられる。柔い場所を鋭いもので掻き分けられる感触にびくびくと体を震わせ、審神者は髭切を見上げた。まったく、こんな綺麗な顔をした男のどこにそんな凶悪なものがぶら下がっているかなんて誰が想像できるだろうか。
「こっち、気になる?」
「ちっ……、ちが……、その、見てたんじゃなくて、見えちゃって……」
「いいよ、君なら。じっくり見てもらっても」
「……んっ……ぁ……」
でも知ってしまったら、知らないふりなどできない。
「目をそらされるより、ずっといい。ほら、僕が君にはいっていくところ、よく見てごらん」
「やぁ……っ」
「駄目。逃げないの」
「……ちが……、あぁ……っ」
無意識に引いてしまった腰を髭切が掴み、引き寄せる。勢いよく奥を貫かれた先、見えたのは恍惚に目を細める男の顔だった。声を上げる審神者をうっとりと見下ろし、この時間をゆっくりと楽しみ、味わうように腰を動かす。奥を衝かれると全身が痺れ、ずるりと抜かれると切なさに肌が粟立つ。いっそ苦しささえ覚える甘い疼きに、審神者は今日もひどく蕩けさせられるのであった。
「ああ、可愛い。頭から食べてしまいたい」




×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -